2026年4月17日〜19日の3日間にわたり、静岡県・東伊豆クロスカントリーコースにて「Rainbow Disco Club 2026」(以下、RDC)が開催された。国内外のダンスミュージックファンから長く支持されてきた同野外フェスだが、今年は計21組のアーティストが出演。昨年以上の盛り上がりを見せた。本稿では、UKを代表するDJであり、RDC常連組でもあるBen UFOキュレーションのステージが開催前から注目を集めていた初日と、テクノ/ハウスの実力者たちが揃った2日目の模様をレポートする。
今年も会場内には「RDC Stage」と「Red Bull Stage」の2つのステージが設置されていたが、まず目についたのは、RDC Stageの変貌だった。同ステージは、このフェスの象徴とも言えるピラミッド型のDJブースで知られる。しかし、今回はグラフィックアーティスト/アートディレクターのYOSHIROTTENが手掛けた新たなデザインにより、ステージそのものが演出装置として機能。さらに、ブース両脇にLEDビジョンが設置されたことで映像演出も可能となり、夜のフロアの没入感を一層高めていた。また、スピーカーの音量も例年以上に大きく、より迫力ある音になったと感じた。


このように新たなステージ機能を手に入れたRDC Stageだが、その初日は「Ben UFO and Friends」と題された一日となった。Ben UFO、Daphniが昼の時間を盛り上げたあと、ステージに登場したFloating Pointsは、自身がSan Francisco Ballet Orchestraと共作した「Falling to Earth」(RDC当時は未発表。5月1日に正式リリース)やDJ ZANK「Pegassans」のような古いハードグルーヴハウス、Chez Damier「Untitled」のディープハウス、さらにはジャングルやベースミュージックまでをプレイ。さらにTei Towa「Typical! (feat. TAKKYU ISHINO)」をフロアに投下するなど、意外性も含めた選曲で会場を大いに盛り上げた。

そんなFloating Pointsのプレイの余韻が残る中、始まったのが「サプライズゲスト」枠で登場したFour TetのDJセットだ。2024年のRDC以来となるこのDJセットでは、自身の代表曲「Daydream Repeat」や「Mango Feedback」を織り交ぜつつ、ポップクラシックのTalk Talk「It’s My Life」をドロップするなど、彼らしさと意外性を行き来する圧巻のプレイだった。

そして初日のRDC Stage最大のハイライトは、なんと言ってもBen UFO b2b Daphni b2b Floating Points b2b Four TetによるB4Bセッションだ。UKクラブシーンを牽引してきた4人は、2009年にリリースされ、UKダンスミュージックの金字塔となったJoy Orbison「Hyph Mngo」からBrian Auger & The Trinity「Indian Rope Man」のようなジャズロックのレアグルーヴまで飛び出す、予想不可能な選曲を披露。ハウスからテクノ、ベースミュージックを自在に行き来するフリーフォームな選曲で観客を沸き立たせた。

一方、体育館を舞台にレイヴパーティーが繰り広げられるRed Bull Stageでは、D.A.N.のDaigosとAlbino SoundによるエレクトロニックデュオDungeoneering(live)が、エクスペリメンタルかつ重低音の響くインダストリアルなマシーングルーヴで観客を魅了。夜の盛り上がりを加速させた。

また、同ステージのトリを飾ったUKベースミュージックのOG、Malaは、ダブステップを中心としたドープなDJセットを展開。Maguguとの「Militant Don」やダブステップ黎明期を代表するクラシックSkream「Midnight Request Line」などもプレイし、Red Bull Stageをサブベースの重低音で揺らし続けた。

一方、RDCレジデントのSisi、WonderfruitのミュージックディレクターOuissam、国内のYamarchyによる4時間にわたるB2Bで幕を開けた2日目のRDC Stageはハウスとテクノの色が濃い一日となった。

その中でまず、印象に残ったのはロッテルダム出身の新星Suze Ijóだ。シカゴハウスの影響を感じさせるRDC初出演の彼女のプレイが汗ばむ陽気の午後の会場を心地よく揺らした。

その後、国内ダンスミュージックシーンの雄Gonno、名門「Running Back」を主宰するGerd Jansonとタイムテーブルが進み、陽が完全に落ちた時間帯に過去2回のRDC出演でも印象的なプレイを披露したHAAiが登場。ハードグルーヴハウスからテクノ、ベースミュージックまでを行き来するDJセットでは、Plump DJs「Gobbstopper」やHatiras「Hypnotized」のようなハードグルーヴの名曲、自身の楽曲「Voices」も披露された。

また、ここぞという瞬間にベースミュージックを差し込んでくる緩急の妙もHAAiのずば抜けたDJセンスを感じさせた。この卓越したDJセットは率直にいって、感動的ですらあった。そして、この時、筆者の中での今年のRDCの優勝が決まったことは言うまでもない。そんなHAAiは、ディスコライクなSkatt Bros「Walk the Night」で会場を沸かせ続けた素晴らしいセットを締め括った。


また、この日の夜のRed Bull Stageには、例年、RDCのための特別な”パートナー”とのB2Bセットを披露するDJ Nobuが11年ぶりにソロDJセットで登場。テクノの深淵に誘う濃厚なプレイを通して、長きに渡り、日本のテクノシーンを牽引してきた自信の存在感を見せつけた。

そしてトリを飾ったRDC初登場のHelena Hauffは、インダストリアルテクノとEBMが交錯する硬質なセットを披露。ベーシーなドラムのグルーヴのインパクトと無機質なシンセのリフが幾層にも積み重なる音像で、深夜のRed Bull Stageを最後まで盛り上げ続けた。

Ben UFOが”友人たち”と共につくり上げた祝祭的な初日と、ハウスからテクノ、EBMまでが濃密に連なった2日目。今年も日ごとに異なるピークを設計してみせるRDCの見事なキュレーション力は健在だった。そして、その魅力が何倍にも増幅されて発揮されるであろう来年の開催が早速楽しみでしかない。



Text by Jun Fukunaga
