ダフト・パンク(Daft Punk)と漫画家・松本零士が手がけた2003年の傑作アニメーション『インターステラ5555』が4Kにリマスターされ、今年12月12日から世界同時上映されることが話題になっている。しかし、その記念すべき世界同時上映を控える中、AIによるリマスター処理が行われたのではないかと、ファンの間で物議を醸している。
11月13日に公開された同作の公式トレーラーを見たファンは、オリジナル映像をAIでアップスケールしたのではないかと指摘。とりわけ観客が映るライブシーンのクオリティの低下を指摘する声が多く、オンライン掲示板「Reddit」では、「スマートフォンの小さな画面で見ても明らかにAIが使用されている」「大きな映画館のスクリーンで見る価値はない」といった批判の声が上がっている。
This is a disgrace to Leiji Matsumoto.
byu/topprock inDaftPunk
I don’t know how to feel about this..
byu/_alabast3r_ inDaftPunk
また、故・松本零士氏と東映アニメーションが手がけた原作にみられるアニメーションのディティールのきめ細やかさや複雑さが失われているとの指摘もあり、「安易な商業主義」と批判するファンもいる。さらにMusic Techは、「Daft Punkのレーベルは地獄で腐るべきだ。『Interstella 5555』をAIでアップスケールしてこんなひどい見た目にするなんて邪悪だ」とXに投稿する強く批判するファンの声を取り上げている。
その他に同作が企業やレーベルがアーティストの功績を利益のために利用するという内容を描いた作品だっただけに皮肉な話だと指摘するファンの声を紹介している。
the daft punk label will rot in hell it is EVIL to ai upscale interstella 5555 and make it look this garbage
— moe (@moe9times) October 30, 2024
literally a movie about the corporate world transforming artistry and music into soulless sludge and you've done this to it https://t.co/VWgTNlpwO1
一方、Music TechやDJ Magによると、公開当時の映像技術面において、オリジナル版はデジタルアニメーションで制作されたため、多くの素材が現存せず再レンダリングが困難だったとされる。そのため、時間と費用の節約のためにAIを使用したのではないかと推測するファンも。さらには「手作業での再アニメーション化は現実的ではなく、批判は過剰反応だ」という映像処理技術の採用を擁護するファンの声も見受けられる。
ダフト・パンクの作品は、グループが解散した2021年以降も各アルバムのアニバーサリーエディションが発売されており、昨年はグラミー賞を受賞したダフト・パンクの4thアルバム『Random Access Memories』10周年記念盤(ドラムレス盤含む)が大々的なプロモーションとともにリリースされたことは記憶に新しい。
今回も『Interstella 5555』4Kリマスター版上映に合わせて、松本零士氏のアートワークを使用した2001年の2ndアルバム『Discovery』日本限定盤を『Discovery: Interstella 5555 Edition』として復刻され、関連グッズの発売も決定している。こうした”アニバーサリーエディション”という名の限定盤が定期的にリリースされていることに対しては、ファンの間でも賛否両論となっている。
今回のリマスター技術の詳細について、DJ Magは同作の担当者にコンタクトを取り、説明を求めているがこの記事を執筆している時点では回答はない模様。
なお、『Interstella 5555』4Kリマスター版は、日本国内では12月12日と15日の2日限定、もしくは12月12日から15日までの4日間限定で特別上映される。
公開前にも関わらず、ファンの間でも意見が分かれることになった”傑作アニメーション”。果たして、実際に指摘されるように映像はひどいものになっているのだろうか? 気になるところだ。
source:
https://musictech.com/news/music/daft-punk-interstella-5555-ai-upscale/
https://djmag.com/news/daft-punks-interstella-5555-film-restoration-criticised-over-alleged-ai-use
text by Jun Fukunaga