RadioheadのThom Yorke、AbbaのBjörn Ulvaeus、俳優のジュリアン・ムーアをはじめとする1万5000人以上のアーティスト、クリエイターが、AIによる作品の無許可使用に対する警告声明に署名した。
この声明は、AIモデルの訓練に創作物を無許可で使用することがクリエイターの生活を”重大かつ不当に脅かす”と訴えている。
声明の発起人である作曲家でAI企業の元幹部Ed Newton-Rexは、現在のAI開発の問題点を指摘を次のように指摘している。
「AI企業はエンジニア1人に100万ドル、モデル開発に最大10億ドルを投資する一方で、訓練データは無料で入手しようとしています。彼らが”訓練データ”と呼ぶものは、実際には人々の創作物、つまり文章やアート、音楽なのです」
この問題は既に法廷での争いに発展している。アメリカでは作家のJohn Grisham、George RR MartinらがChatGPTで知られるAI企業のOpenAIを著作権侵害で提訴。音楽業界でも、Sony Music、Universal Music Group、Warner Music Groupなどの大手レコード会社が、AI音楽制作企業のSunoとUdioを提訴している。
The Guardianによると、現在、アーティストやクリエイターの間で特に懸念されているのが「オプトアウト」制度の適用だという。イギリス政府は、アーティストらの権利保護の観点から、この制度の導入を検討しているが、同制度では、アーティストやクリエイターが明示的に拒否しない限り、AI企業が著作物を収集することが許可される。
Newton-Rexは自身のAI企業での経験から、「最も整備されたオプトアウト制度でさえ、大多数の人々に認知されません。制度について知らないうちにメールを見逃してしまうことも多いのです」と指摘。代わりにクリエイターの明示的な同意を必要とする「オプトイン」制度を提案している。
声明にはThe CureのRobert Smith、作曲家のMax Richter、作家のカズオ・イシグロなど音楽、映画、演劇、文学、テレビといった幅広い分野のクリエイターが賛同。さらにAmerican Federation of Musicians、米俳優組合SAG-AFTRA、European Writers’ Council、Universal Music Groupなどの業界団体も支持を表明している。
一方、AI開発の主要企業であるGoogleは、学術研究などの非商業目的での著作権作品の使用(テキストおよびデータマイニング)に関する規制緩和を求めている。
そうした事情を踏まえて、イギリス政府はAI企業とクリエイティブ産業の両者との協議を進めており、「慎重な取り組みが必要な分野である」とし、”幅広い見解を聞く”姿勢を示している。
source:https://www.theguardian.com/film/2024/oct/22/thom-yorke-and-julianne-moore-join-thousands-of-creatives-in-ai-warning
text by Jun Fukunaga