独自のスタンスと存在感を武器にハイペースなリリースを続ける22歳のラッパーItaqと、8月にリリースした「Water Boys」をはじめ過去作でも度々コラボし、現在は3DCG作家としても活動する実弟Dirty Kiyomiyaで2017年に結成した兄弟クルー:那須ワイルドボーイズが、初の公式リリースとなるEP「Wild Tape」をリリースした。

那須ワイルドボーイズは2017年から不定期でSoundCloud等に楽曲を発表してきたものの、”Itaqが頼んだ時だけDirty Kiyomiyaがラップをする”という性質もあってか纏まった作品集はおろか、公式リリースも無いまま5年の時が経過した。しかしItaqの上京にあたり、地元那須での最後のプロジェクトとして「Wild Tape」の制作は進められ、遂に完成。日の目を浴びることとなる。全曲のビートを栃木県那須郡を拠点に長きに渡って国内グライムシーンを支え続けるビートメイカーのNegatinが担当、収録曲3曲全てがソリッドでダークなUKドリルビートとなっている。Itaqのスキルフルで小回りの効くラップには言葉遊びも散りばめられ、様々なビートアプローチが聴き手を飽きさせない。しかしそこに突如として現れるDirty Kiyomiyaの濁流の如きフローは、ファニーな物語を描き出す常に混沌としたワードセンスによって聴き手を撹乱し、また他に類を見ない表情豊かな野太い発声が強烈な印象を刻みつけること請け合いである。アートワークを担当したのはItaqと今回で5回目のコラボとなるグラフィッククリエイターのITO AOI。木と金属のテクスチャーをあしらったオリジナルロゴが印象的なジャケットとなっている。

そしてジャケット写真と那須ワイルドボーイズとしてのアーティスト写真、リリースと合わせて公開された”Furin Kazan”のMusic Videoを撮影したのが栃木県小山市を拠点に活動し、Itaqの”幸福”のMusic Videoも制作したカメラマン兼映像作家のabokado boy。”Furin Kazan”は、那須ワイルドボーイズによる初のEP『Wild Tape』の1曲目を飾る楽曲で、ItaqとDirty Kiyomiyaの暴発するような勢いをそのままパッケージしたドリルソング。言葉遊びとタイトで身体的な高速ラップを披露する兄のItaqと、破綻したリリックを低音の響くナイスヴォーカルで濁流の如く連打する弟のDirty Kiyomiyaが対照的な美を生み出し、聴く者を最後まで飽きさせない。地元那須の大先輩であるNegatinによるドリルビートも、霧がかった山々のようなダークでスモーキーな情緒を描き出している。撮影はItaqとDirty Kiyomiyaの通っている温泉「五峰の湯」と、無数のロケスポットを擁するチート寺こと「雲巌寺」にて敢行。2人のグライミーなバイブスと天真爛漫な遊び心を存分に楽しめる作品となった。なお、このMVの撮影はItaqの上京直前に行われ、途中登場する軽自動車は撮影から間も無くして惜しくも手放された。

ヒップホップ的な正解に囚われず、北関東の山々を彷彿とさせる荒々しさを提示する那須ワイルドボーイズの「Wild Tape」は、群雄割拠の国内ドリルシーンにあってまさに斜め上からの襲撃となるに違いない。

▼Digital EP: 那須ワイルドボーイズ「Wild Tape」▼
Artist : 那須ワイルドボーイズ (ナスワイルドボーイズ)
Title : Wild Tape (ワイルド・テープ)
Release Date : 2022年11月04日(金)
Format : DIGITAL(DL/ST)
URLs : https://ultravybe.lnk.to/wildtape

収録曲
1. Furin Kazan
2. CA1M PLAY
3. NATSUNOMUSHI

All Tracks Produced by Negatin

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