薬物取り締まり強化と大麻使用罪の創設に反対するオンライン署名運動「厳罰化は誰も幸せにしない。薬物政策をハームリダクションへ転換を!大麻等の薬物取り締まり強化と『大麻使用罪』創設に反対します!」が開始された。
近年、世界各国で大麻の所持や使用の非犯罪化、合法化が進められている。しかし、2021年1月13日、厚生労働省は、大麻等の薬物の取り締まりを強化することなどを検討する有識者会議を立ち上げることを決定。ここ日本では大麻の所持は依然として違法のままだが、現行の大麻取締法では大麻の「使用」自体は禁じられておらず、新たに『大麻使用罪』を創設することも含めて議論し、今年の夏にも報告書をまとめるとしている。
しかしながら、薬物の取り締まり強化や、新たに『大麻使用罪』を創設することは、国際的な薬物政策の流れに逆行していると訴えるのが、このオンライン署名を立ち上げた亀石倫子弁護士だ。オンライン署名では大麻や現行法では違法とされている薬物使用の厳罰化に反対することに加えて、”ハームリダクション”の導入を訴えている。
厳罰化しても薬物問題はなくならないし、誰も幸せにしない。国連は薬物問題をSDGsと関連づけて考え、世界中で厳罰化からハームリダクション(健康被害などの軽減)へ転換しているなか、規制強化は完全に逆行している。刑罰より、支援や治療を。署名にご賛同をお願いします🙏🏻https://t.co/aQpL8mZEOk
— 弁護士 亀石倫子 (@MichikoKameishi) January 17, 2021
“ハームリダクション”とは、個人が、合法、違法に関わらず、健康被害や危険をもたらす行動習慣をやめることが出来ないとき、その使用により生じる健康、社会、経済上の悪影響を減少させることを目的とした政策やプログラムのこと。現在の国際社会では、薬物問題が犯罪としてではなく、「健康問題」、「社会問題」として捉えられ、健康被害や社会生活での悪影響を少しでも減らすための解決策を探るためにハームリダクション政策がとられることが、徐々に一般的になりつつあるという。
オンライン署名ページでは、マレーシアでは注射による薬物使用などを原因としたHIVの感染者が2002年には7000人に達したものの、2006年にハームリダクションに転換したところ3000人に減少したこと、また台湾でもハームリダクションを導入したところ2008年までに55000人を超えていたヘロインの使用者が24000人にまで減少したという事例も紹介。また、国連は薬物問題をSDGs(持続可能な開発目標)と関連づけて考え、目標達成のために、ハームリダクション政策を呼びかけており、現在では、世界約20か国で個人的な使用のための違法薬物所持に対する罰則が撤廃され、大麻についてはおよそ50か国で非犯罪化されていることも紹介されている。
その上で亀石弁護士は、薬物の取り締まり強化や「大麻使用罪」の創設は国際的な薬物政策の流れに逆行しているという問題提起。近年、薬物使用問題に関して、日本ではピエール瀧や沢尻エリカ、伊勢谷友介などの著名人が逮捕され、出演・制作した作品の音源・映像の在庫が回収されたり、配信が停止されるなど、過剰な社会的制裁を受けている。
薬物に関する法律に関しては、個人だけでなく専門家の間でも意見が別れるかもしれないが、署名キャンペーンページの内容には反対、賛成にかかわらず、まずは1度目を通した上で、もう一度自分の意見を考えてみてもいいのではないだろうか?
「厳罰化は誰も幸せにしない。薬物政策をハームリダクションへ転換を!大麻等の薬物取り締まり強化と『大麻使用罪』創設に反対します!」のオンライン署名ぺージはこちら。