新型コロナ感染拡大以降、従来のゲーム以外にもバーチャルライブのプラットフォームとして注目を集めていた人気ゲーム『フォートナイト』のアプリが、AppleとGoogleのアプリストアの規約違反により削除。それを受けて、『フォートナイト』を手がけるEpic Gamesは、Appleをカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所で提訴したことが報じられている。
アプリ削除は、Epic Gamesが、AppleとGoogleの「法外な手数料」を批判し、『フォートナイト』のゲーム内通貨「V-Bucks」の料金と支払い方法を変更したことを受けてのもの。しかし、AppleとGoogleはEpic Gamesの訴えと対立しており、アプリをアプリストアから削除するに至った。
『フォートナイト』は世界で3億5000万人超のプレーヤーを抱える人気オンラインゲームで、スマホやタブレット以外にもPS4、Xbox One、Nintendo Switchといった家庭用ゲーム機、PC、Macからもプレイ可能。ゲームのアプリ自体は無料で、ユーザーのアプリ内課金によって成り立つフリーミアムモデルとなっている。
Epicは、今回のアプリ削除に対し、「Appleは同社がかつて先頭に立って反対していたはずのものに成り下がってしまった。市場を支配し、競争をブロックし、イノベーションを殺す巨大企業だ」と訴える。また削除措置によって、これまでのアプリユーザーが最新版にアップデートできないこと、新規ユーザーがダウンロードできないと批判。さらに「Appleの『フォートナイト』削除は、Appleが巨大な力を利用して不当な制限をかけ、iOSのアプリ内購入マーケットへの100%独占を不法に維持していることを示す」と反論を展開しており、Appleがマーケットを100%独占するため、不当かつ違法な制限を課していると怒りを露わにしている。
このような措置を受けて、Epic Gamesは、かつてのAppleのCMをモチーフにした風刺的な批判動画を公開。「2020年が『1984』になることを止める戦いに加わってほしい」とファンにAppleへの削除措置を撤回するように呼びかけている。
Epic GamesはApp Storeの独占に異議を唱えました。報復として、Appleは10億のデバイスでFortniteをブロックしています。https://t.co/VwLAHlzLap へアクセスし、2020年を「1984」にしないための闘いに参加してください。 pic.twitter.com/LSKyXiXQVA
— フォートナイト (@FortniteJP) August 13, 2020
一方、Appleに続き、アプリを削除したGoogleは、声明で、「『フォートナイト』はAndroidで現在も利用可能ですが、我々のポリシーに違反しているため、Google Playで提供することはできません。しかし、『フォートナイト』をGoogle Playに戻すため、Epicと対話する機会を歓迎します」と述べている。
今回のEpic Gamesによる批判には、アプリを配布するプラットフォーム側であるAppleやGoogleが差し引く手数料が高いことに対する不満が原因のひとつになっている。またこのようなテック業界大手による独占・寡占ともいえる状況に反旗を翻す開発側の訴えによって、逆風が強まるおそれがあると日経新聞は指摘している。
また音楽業界でも今年の4月以降、『フォートナイト』でのバーチャルライブは人気を博しており、これまでにTravis Scott、Diploら海外のスターが出演。今月は米津玄師が日本人初の『フォートナイト』ライブを行なったことも大きな話題を呼んだ。その意味でも今回の『フォートナイト』アプリ削除は、音楽ファンにとっても影響を及ぼす問題といえるだろう。