音楽、アート、カルチャーの野外フェスティバル「Rainbow Disco Club 2023」が4月29日(土)、4月30日(日)、5月1日(月)に静岡県 東伊豆クロスカントリーコースにて開催された。

今年のRDCでは、過去最多となる海外アーティストを招聘。デトロイト・テクノのパイオニア、Jeff Millsが初登場したほか、Antal、Hunee、San Properといった同フェスの常連組に加え、Daphni、Special Request、Chaos In The CBD、Yu Su、Moxie、Ben UFO、Kamma & Masalo、Lars Bartkuhn、Eris Drewなど、世界のクラブシーンにその名を轟かせる人気アーティストの出演が開催前から大きな話題になっていた。

今年Pointedは、4月29日(土)に行われたRDC 2023の初日日程に参加。その模様を取材した。

©︎Masanori Naruse

この日の日中は、ゴールデンウィークの始まりらしく初夏を感じる心地よい天気。初日日程のRDCステージに出演したYu Suは、序盤は晴れた午後の雰囲気にあう、ゆったりとした心地よい選曲が目立ったが、DJセットが進むにつれ、プレイのギアも徐々に上がりだし、後半にかけてアグレッシブに会場を盛り上げていく姿が印象的だった。

©︎Masanori Naruse

続いて登場したYoshinori Hayashiは、時にダビーに、テッキーにオリジナリティあふれるダンスミュージックを体現するかのようなライブセットを展開。より一層RDCの世界観や楽しさに没入させるかのような多様な音像は、夕暮れに向かってボルテージを上げていく観客を大いに魅了した。

©︎Masanori Naruse

ここでPointedクルーは一旦、RDCステージを離れ、フードコートエリアやその日の寝床となるキャンプサイトで小休憩。美味しいお酒や自前のキャンプ飯に舌鼓を打ったあと、夜に備えてマッサージを受けるなど、チルアウトしながら英気を養った。

©︎JIroken
©︎JIroken

そして、この日のRDCステージのトリを務めるJeff Millsのパフォーマンスを拝見するべく、RDCに再び足を運ぶとそこはJeff Millsらしいミニマルなテクノが鳴り響く歓喜のフロアと化していた。

©︎Masanori Naruse

少し雨がちらつきだす中、Jeff Millsは名曲「The Bells」など、ファンが期待するフロアアンセムを投下したほか、今や彼にとってアコニックなパフォーマンスとなっているRolandのリズムマシン「TR-909」を使ったパフォーマンスも展開。期待どおりのパフォーマンスに盛り上がる観客の姿が非常に印象的だった。

©︎Masanori Naruse

また夜のRDCステージならではの夜空に展開されるドローンのレーザー演出も雨粒と混じり合いながら、幻想的な雰囲気を作り上げていた。

©︎Masanori Naruse

一方、Jeff Millsのプレイの合間に足を運んだRed Bullステージでは、Chaos In The CBDがムーディーなハウスセットを展開。巧みな選曲センスが光るDJプレイを楽しむことができた。

©︎Suguru Saito

またChaos In The CBDの後にプレイした今回がRDC初出演となるChangsieのプレイも冴えており、心地よいダンスフロアを演出。その後に登場したBen UFOも定評ある高いDJセンスを遺憾なく発揮し、テクノやUKファンキー、レイヴなブレイクビーツなど、バラエティに富んだジャンルを横断しながらも一本筋の通った貫禄が漂うプレイでRDC初日を見事に締め括った。

©︎Suguru Saito
©︎Suguru Saito

Ben UFOがプレイを終える頃、外は土砂降りの雨だったが、寝床のテントへと向かうPointedチームの足取りは不思議と軽く、大満足のまま自分たちもまた今年のRDC初日を終えた。

思い返せば、昨年のRDCでは、招聘した8組の海外アーティストが無事入出国できたことでその後開催を控える音楽フェスにとっても大きな希望になっていた。現在、我々はコロナ禍が落ち着いたことで、2020年から約2年に渡り行われていた行動制限に縛られることなく、海外アーティストを招いたクラブイベントや音楽フェスを楽しむという”日常”に回帰している。その日常の回帰の口火を切ったRDCは、今年も以前と変わらない、いや、さらにパワーアップした抜群のホスピタリティをもって、音楽フェスを楽しむ機会を多くの観客に提供してくれた。

今年の開催が終わったばかりでいささか気が早いかもしれないが、すでに筆者は来年の開催を心待ちにしている。次に東伊豆の地に向かう時は、どんな感動を得ることができるのだろうか? 今から楽しみでならない。

Text by Jun Fukunaga

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