イギリス・リヴァプールを拠点とするラッパー・EsDeeKidが、「Closer」のヒットで知られるThe Chainsmokersに対し、自身の楽曲を無許可でリミックスし、公開したとして公に批判した。
1月2日、EsDeeKidはXに自身のヒット曲『4 Raws』のブートレグリミックスが、The Chainsmokersによって許可なく公開されたことに言及。「あのChainsmokersのリミックスは“NUKED(抹消)”されることになる」と強い言葉で非難し、「俺の曲を勝手にリミックスして、それをすべての音楽配信プラットフォームに投稿するのがクールだなんて思うな」と、The Chainsmokersの行為に対して不快感を露わにしている。
EsDeeKidの投稿直後、The ChainsmokersのYouTubeやSoundCloudアカウントから当該リミックスは削除されたが、SNS上では依然として音源の一部が出回っている状況だ。現時点で、The Chainsmokers側はこの件に関して公式なコメントを発表していない。
今回問題となった「4 Raws」は、EsDeeKidが2025年6月にリリースしたデビューアルバム『Rebel』収録曲。リヴァプールの荒廃した空気感を背負ったこのトラックは、EsDeeKidの正体が俳優のTimothée Chalamet(ティモシー・シャラメ)ではないかというネット上の噂(陰謀論)が過熱したことで注目を集めた。 このバイラル現象も追い風となり、同曲は2025年12月時点で全英シングルチャートで最高23位を記録したほか、米ビルボードHot 100でも95位にランクインするなど、グローバルなスマッシュヒットとなっている。
この「同一人物説」の噂は、実際にTimothée Chalamet本人が客演した公式リミックス『4 Raws Remix』のリリース(2025年12月19日)という形で結実している。同曲内でChalametは、パートナーであるKylie Jennerや、自身の主演映画『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』について触れるラップを披露。噂を逆手に取ったプロモーションを展開した。
一方、The Chainsmokersは、近年、自身が作成した話題曲のブートリミックスを定期的にSNSやSoundCloudに投稿。その中にはEsDeeKidと同じイギリス人ラッパーで今年3月に初の単独来日公演を行うCentral CeeやCharli xcx楽曲のブートレグリミックスだけでなく、公式リミックスとしてリリースされたTaylor Swiftのヒット曲「The Fate of Ophelia」などがある。
彼らの一連のリミックス戦略は、Taylor Swiftの事例のように公式化に成功すれば大きな話題を呼ぶ。また、The Chainsmokersは一時代を築いたヒットメーカーで現在もメインストリームのダンスミュージックシーンでは一定の影響力を保ち続けている。しかしながら、「Closer」の世界的大ヒットも今となってはもう10年前だ。EsDeeKidのように現在のZ世代の若者から支持される新世代アーティストからすると、The Chainsmokersの威光もほとんど届かないのかもしれない。EsDeeKidが激怒した真意を知りたいところだ。
Source:
https://djmag.com/news/esdeekid-slams-chainsmokers-unauthorized-remix-of-4-raws
https://www.billboard.com/music/music-news/esdeekid-the-chainsmokers-unauthorized-4-raws-remix-1236148417/
Text by Jun Fukunaga
