Deadmau5こと Joel Zimmermanが、自身の音楽カタログをCreate Music Group(CMG)に5500万ドル(約81億円)で売却したことがわかった。
今回の取引ではDeadmau5の個人作品だけでなく、彼が主宰するレーベル「mau5trap」の権利も含まれており、CMGは一気に4000曲以上もの楽曲の権利を取得することになる。
この取引によりCMGは、Deadmau5の「Ghosts ‘n’ Stuff」や「Strobe」といった代表曲から、2013年にグラミー賞にノミネートされた『>Album Title Goes Here<』まで、彼が過去26年間に制作した全作品の権利を手に入れた。
さらにエレクトロニックミュージックシーンを代表する人気レーベルのひとつとして知られるmau5trapの音楽カタログも取得。これによりSkrillexの代表作のひとつであるEP『Scary Monsters and Nice Sprites』やRezzの2017年デビュー作『Mass Manipulation』など、mau5trapが世に送り出してきた名作の著作権もCMGに移ることになる。
ただし今回の取引は単なる売却に留まらず、新たなパートナーシップの始まりでもあるとのこと。今後、CMGとDeadmau5は共同で新しいDeadmau5作品やmau5trapのリリースを手がけていく予定だ。
Deadmau5は、この取引について、以下のようにコメント。
「約20年間、Jonathan(CMGのCEO)とAlex(CMGのCOO)と緊密に協力してきたんだ。すべてを次のレベルに引き上げるパートナーを探していたが、僕たちは遠くを見る必要はなかった。CMGとの協力により、これまで以上に多くの人々に音楽が届くようになると感じている」とコメントしている。
一方、CMGのCEOであるJonathan Straussは「Deadmau5があのヘルメットを被ったとき、彼は単にブランドを作っただけではなく、ムーブメントを巻き起こしました。彼のビジョンは電子音楽を再定義し、業界を変革しました」と述べ、「これは単なる買収ではなく、音楽を永遠に変えた遺産を引き継ぐ責任です」と強調している。
今後の展開としては、Deadmau5の主要作品のリマスタリングと再リリース、新たな独占コンテンツの制作などが計画されている。また、ゲーム好きで知られるDeadmau5は、2021年にRichie Hawtin、ゲーム開発者と技術者のチームと協力してARゲームプラットフォーム「PIXELYNX」を開発している。今後は彼のゲームへの情熱を活かした新たなコラボレーション、ブランドパートナーシップ、VR分野への進出も視野に入れているという。
なお、直近では、昨年Tame ImpalaのKevin Parkerによる自身の過去の楽曲および将来の音楽作品カタログ売却が大きな話題となった。
source:https://musictech.com/news/music/deadmau5-sells-entire-catalogue/
text by Jun Fukunaga