イギリスの音楽家/プロデューサー、スティーヴン・ジェイムス・ウィルキンソンことビビオ (Bibio)によるアンビエント/ドローン・プロジェクトの最新作『PHANTOM BRICKWORKS (LP II)』より、新たに「PHANTOM BRICKWORKS VII」が公開された。
本アルバムは、自然や風景、そして産業の残影が漂う場所から着想を得たもので、イギリス各地の衰退していく遺跡を訪れ、それらに残る人間の痕跡を探りながら、作り上げられている。
『PHANTOM BRICKWORKS VII』は、一発撮りのピアノの即興曲で、2台のデジタル・ディレイ・ペダルと、25年以上使い続けている古いアップライトピアノを使っている。使用機材と手法は、約18年前に録音した最初の『PHANTOM BRICKWORKS』のトラックとほぼ同じだ。この曲は、ペダルのひとつをタイムキーパー/ディバイダー、もうひとつをルーパーとして使うことで、より構造化されたリズムが生まれ、浮遊感よりもリズム感が強くなっている。この即興演奏は、音の連なりが崩れていく様子自体が楽曲の本質的な要素であるため、再現することは不可能だ。それが、僕が使ってるペダルの特徴でもある。『PHANTOM BRICKWORKS VII』は、私が今まで録音したピアノの即興演奏の中でも特に気に入っている一曲で、録音中には気づかなかった構成的な一体感が、後から聴くと際立って感じられる。この即興演奏は一発撮りで、追加のレイヤーは一切ないが、元々は18分以上もあった。曲の途中から始まるようにカットして、完成形に近い状態でスタートさせましたが、最初のメロディがどのように積み重ねられていったかは、崩れゆくレイヤーの中に沈殿物のように埋まっている。その存在が遠くに奥まっていくほど幽玄に響いてるように思う。
– Stephen James Wilkinson (Bibio)
10曲のアンビエント/ドローン楽曲を収録した本作『PHANTOM BRICKWORKS (LPII)』では、新たな場所に焦点を当てている。中には自然の風景に大きな傷跡を残した興味深い場所もあれば、地元の記憶や古い映像、写真の中にしか残っていないものもある。一部は人目に触れずに沈んでしまった場所もあり、また一部は伝説や物語としてのみ存在する。即興で重ねられたピアノやバリトンギターのループの下には、労働者たちの生活の痕跡がかすかに聞こえ、自然がすべてを覆い隠してしまうことを暗示している。
ビビオの最新作『PHANTOM BRICKWORKS (LPII)』は、11月22日 (金) にCDと2枚組LPで世界同時リリースされ、500枚限定となる国内流通仕様盤CDには解説書が封入される。
リリース情報:
label: BEAT RECORDS / Warp Records
artist: BIBIO
title: PHANTOM BRICKWORKS (LP II)
release: 2024.11.22
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=14463
TRACKLISTING:
- DINORWIC
- DOROTHEA’S BED
- PHANTOM BRICKWORKS VI
- SURAM
- LLYN PERIS
- PHANTOM BRICKWORKS VII
- TEGID’S COURT
- BROGRAVE
- SPIDER BRIDGE
- SYCHDER MCMLXXXIX