作曲家、ピアニスト、稀代のエンターテイナーとして活躍する天才音楽家チリー・ゴンザレスが、待望の新曲「F*ck Wagner」を突如リリースした。

2011年の『The Unspeakable Chilly Gonzales』以来、自らの作品において自らの声をフィーチャーすることのなかった彼だが、今回その封印を破り、彼はキャンセル・カルチャーを取り上げ、その最も現代的な疑問の急所を、悪びれもせずストレートに突いている。

アーティストと作品を切り離すべきか?彼は、ワーグナーからカニエまで、歴史的、現代的な怪物的人物たちについてラップ (ドイツ人ラッパー、Dendemannとのコラボレーション) している。彼らの文化的貢献は否定できないが、チリー・ゴンザレスは、メロディーのセンスを失うことなく、生々しく、ありのままに、彼らに立ち向かっている。

今回の新曲発表に合わせて、チリー・ゴンザレスは、ケルンのリヒャルト・ワーグナー通りをティナ・ターナー通りに改名する Change.orgキャンペーンをローンチ。リヒャルト・ワーグナー通りという名称を取り消すように求める、ケルン市長宛ての書簡を公開した。

案件:ケルン市インネンシュタットのリヒャルト・ワーグナー通りの名称変更
理由:アンチセメティック (反ユダヤ的) で人種差別的な芸術家とアートを切り離すため

リヒャルト・ワーグナーは偉大な作曲家であったが、醜悪な人間であった。私たちは、19世紀末のヨーロッパは多くの時代遅れの考え方、特にユダヤ人に対する偏見が蔓延していたと考えているが、ワーグナーは第一線の知識人としてのプラットフォームを利用して、著書『Das Judenthum in der Musik』 (1869年) の中で反ユダヤ主義を奨励し、他の多くの例とともにこう述べている:
 
“ユダヤ人は人類崩壊の造形的悪魔である” - リヒャルト・ワーグナー
 
通りから名前を外すことは、”キャンセル・カルチャー”という行為ではなく、芸術をアーティストから切り離す行為なのだ。私たちは、彼のオペラの公演中止を求めているのではない。しかし、反ユダヤ主義者(ケルンとは何の直接関係もない)の名前を通りに付けるということは、我々が不相応な人物を称えることにほかならない。彼の名前を通りから削除することで、私たちはその人物を方程式から排除し、彼の芸術的貢献をより明確に捉え、他の方法(彼のオペラの上演) で彼の創造的成果を称え続けることができる。
リヒャルト・ワーグナー通りを歩いていると、怒りと恥を感じる。ユダヤ人のルーツを持ち、2012年からケルンを故郷に選び、移住すると同時に、ワーグナーの音楽のファンでもある私は何かをしなければならないと感じたのだ。それゆえに、この長年の懸案であった意思表示として、私たちは、芸術と芸術家を切り離すことを求める。


敬具
ジェイソン “チリー・ゴンザレス “ベック

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