ローランドと、ユニバーサル ミュージック グループ(以下UMG)は、世界中の音楽アーティストやクリエイターを支援する戦略的パートナーシップを2024年3月20日(米国時間)に発表した。
このパートナーシップは、音楽制作におけるAI(人工知能)の応用についての方向性と意図を明確にしたいという両社の願いによって結ばれ、音楽とテクノロジーが交差するイノベーションの探求を目的としている。
両社は、音楽制作におけるAIの責任ある使用に関する声明として、「AIによる音楽創造のための原則(Principles for Music Creation with AI)」を特設サイトhttps://aiformusic.info/ に発表した。
この声明では、音楽制作、作曲、ソングライティングにおけるAIによるイノベーションの機会を推進するとともに、透明性や公平性、コミュニティへの参加の必要性を示し、音楽業界およびクリエイティブ・コミュニティ全体に向けて提唱していく。
「AIによる音楽創造のための原則」:
- 私たちは、音楽が人間性の中核を成すものであると信じています。
- 私たちは、人類と音楽は切っても切り離せないものだと信じています。
- 私たちは、テクノロジーが長い間、人間の芸術表現を支え、そして持続可能な形で応用されてゆく中で、AIが人間の創造性をさらに広げることを信じています。
- 私たちは、人間が創造した作品は尊重され、保護されなければならないと信じています。
- 私たちは、責任ある、信頼できるAIには透明性が不可欠であると信じています。
- 私たちは、音楽アーティストやソングライター、その他のクリエイターの視点が尊重されなければならないと信じています。
- 私たちは、音楽に命を吹き込むことへの手助けができることを誇りに思います。
両社は、これらの原則を支持する音楽団体や関係者の参加を働きかけ、音楽の創造性が何世代にもわたって発展し、保護されるための倫理的な枠組み作りに携わっていきたいと考えている。これらの「AIによる音楽創造のための原則」は、UMGが創設メンバーであるHAC(ヒューマン・アーティストリー・キャンペーン)に示された原則の多くと一致している。
今後、両社は優先的な取り組みとして、共同研究開発ハブの設立、音楽の出自とその所有権を確認する方法の開発に重点を置いた共同研究プロジェクト、UMGが所有する世界各地の音楽制作施設で使用されるローランド製品やサービスとの統合などを進めていく。
「ローランドとUMGは、技術革新の歴史を共有する企業として、AIが音楽制作のクリエイティブな作業において重要な役割を果たすと確信しています。また、人間の創造性はかけがえのないものであり、アーティストの権利を守ることは我々の責任であるという深い信念を持っています。「AIによる音楽創造のための原則」は、テクノロジーと人間の創造性が融合する機会を探求するための、継続的な協力の枠組みを確立するものと考えています。」ー ローランド株式会社 取締役CIO 蓑輪雅弘氏
「UMGでは、人間の創造性を強化・増幅し、音楽的革新を進め、オーディオ制作と音響技術の領域を拡張するAIの可能性を長い間認識し、受け入れてきました。この可能性は、業界全体にわたって倫理的かつ責任を持って適用される場合にのみ起こり得ることと考えています。私たちは、ローランドと協力し、この分野における新たな可能性を共に模索するとともに、音楽のクリエイティブ・コミュニティにおける主要関係者のコンセンサスを喚起し、新しいテクノロジーの進化とともに人間の創造性が繁栄し続けることを目標に「AIによる音楽創造のための原則」を提唱し、その促進に貢献できることを嬉しく思います。」ー ユニバーサル ミュージック グループ エグゼクティブ・バイス・プレジデント/チーフ・デジタル・オフィサー マイケル・ナッシュ氏
「日本には、世界の音楽文化の形成に大きな役割を果たしてきた最先端テクノロジーの先駆者としてのユニークな歴史があります。人間の創造性を守り、アーティストの利益を確保するという基本的な原点から出発すれば、ジェネレーティブAIにも同様の可能性があると考えています。ローランドとともに、技術革新の歴史を積み重ね、創造性と音楽制作の可能性を、今後何年にもわたって発展させ続けられることを願っています。」ユニバーサル ミュージック合同会社 社長兼最高経営責任者(CEO)藤倉 尚氏