Pointed
Pointed
You are at:»»James Blakeが「音楽ビジネス業界による洗脳」からの解放を目指し、アーティストとファンを直接つなぐ新ストリーミングプラットフォーム「Vault」を発表
Music

James Blakeが「音楽ビジネス業界による洗脳」からの解放を目指し、アーティストとファンを直接つなぐ新ストリーミングプラットフォーム「Vault」を発表

By on 0 Comments

James Blakeがアーティストとファンを直接つなぐ新しいストリーミングプラットフォーム「Vault」を発表した。これは今月初めに自身がSNSで問題視していた、レコードレーベルやストリーミングサービスからアーティストに支払われる現在の低いロイヤリティ問題に対する解決策的な取り組みと言える。

James Blakeは一連の投稿で、ストリーミングプラットフォームやTikTokがアーティストに適切な報酬を支払っていないこと、レーベルがこれまで以上に大きな取り分を求めていること、そしてツアーがほとんどのアーティストにとって費用がかかりすぎることなどについて言及していた。

新たに発表されたVaultは、アーティストが未発表の音楽をアップロードし、ファンがアーティストが設定した月額制のサブスクリプション料金を支払うことで、直接アーティストをサポートできるプラットフォームだ。

James Blakeは、XとインスタグラムにVaultの公開を発表する動画を投稿し、次のように述べている。

「ほとんどのミュージシャンはソーシャルメディアやブランディングの天才ではない。僕はミュージシャンが音楽から直接お金を稼ぐ方法を見つけたかったんだ。特に自分はそうだから」

また、ストリーミングプラットフォームがアーティストに支払う1ストリームあたりのロイヤリティについて、「プラットフォームによって異なるが、大体0.003ドルから0.005ドルの間だ」と説明。James Blakeによると、これは税金とレーベルの取り分を差し引く前の金額だという。（ストリーミングプラットフォームからアーティストが得るロイヤリティはアーティストのレーベルとの契約状況やディストリビューターとの条件などによっても異なる。そのため、全てのアーティストが同じ条件でロイヤリティを得ているわけではないことにも留意しておく必要がある）。

そのため、「ミュージシャンが作る音楽から直接お金を稼ぐ方法を見つけたかった。特に、スタジオを借りたりミュージシャンを雇ったりするような、非常にコストがかかるプロセスに再投資できるようにしたかった。また、特定の要件やトレンドに合致していないために、多くの素晴らしい音楽がリリースされないことに不満を感じているアーティストが多いことを知った」と発言している。

Vault設立の背景については、「僕のツイートが話題になった後、この問題に取り組もうとしているVaultというプラットフォームのメーカーから連絡があった。そこで、未発表の音楽を自分のVaultからリリースし、月額5ドルのサブスクリプションプランを提供するという実験を始めるつもりだ。これは僕から直接ファンに届ける音楽であり、誰も僕のリリースを管理したり遅らせたりすることはできない。そして、みんなが音楽について議論できるチャットセクションも用意しているよ」と述べている。

また、Vaultは James BalkeのSNSでの発言後に急速に構築されたため、今後、機能を追加していく予定だという。アーティストに直接課金するというVaultのコンセプトについては、「（従来のストリーミングの）ゲームを変え、アーティストを現状の容赦ないメリーゴーランドから解放することができると考えている」と発言。さらにVaultが、「アーティストが生計を立てながら、可能な限り本物であることを可能にするための素晴らしい一歩となることを願っている」とも述べた。

以前のJames Blakeの音楽ビジネスに対する提言には、現在はインディペンデントアーティストとして活動するKanye Westも賛同のコメントを投稿していた。

しかし、Vaultはコンセプトに反し、すでに一定規模のファンベースを持つ人気アーティストにだけ機能するものでしかないといった懐疑的な見方もある。

これを受けて、James Blakeは「将来のバージョンでは、プラットフォーム上でアーティストを発見する方法もあるだろう」と回答している。

Mixmagによると、Vaultに対する否定的な意見の中には、「アーティストにより多くのお金を稼がせるのではなく、消費者にとって音楽がより高価になるだけだと感じる。そうなると全体にとって有害なのではないだろうか？」や、「Vaultだけで聴くとして、アーティスト1人につき毎月5ドル払うとしたら…。（複数人に支払うとなれば）支払う額は積み重なっていくため、一般人が負担し続けることを考えると、サステナブルとは言い難い」といったものもあるようだ。

James Blakeは先述の一連の投稿の中で、現在の音楽業界の状況について、音楽ビジネス業界による洗脳が功を奏し、人々は音楽を無料だと考えるようになっていると指摘していた。実際にVaultに対する消費者からの懐疑的な見方があることを考えると、今後は消費者それぞれが考える”音楽の価値”が問われることになっていくのかもしれない。

なお、James Blakeは、Vaultにて、すでに未発表曲を月額5ドルで公開している。

Vaultの詳細はこちら。
https://vault.fm/

追記：Vaultでは、ユーザーがサブスクリプションしているアーティストが曲を公開するとテキストメッセージによる通知が行われる模様。また、Vaultのアプリ版も近日リリースされるようだ。

source:
https://vault.fm/
https://musictech.com/news/industry/james-blake-vault-fm-streaming-platform/
https://mixmag.net/read/james-blake-launches-streaming-platform-unfair-royalty-rates-vault-news/
text by Jun Fukunaga

Share.

Related Posts

Comments are closed.