10月29日(土)〜30日(日)にRAINBOW DISCO CLUB(以下RDC)のスピンオフ企画「RDC “Sound Horizon”」が開催された。今回、Pointedは同イベントを取材。その様子をレポートする。

RDC “Sound Horizon”は神奈川県川崎市の緑豊かな臨海公園「ちどり公園」にて開催されたRDCにとって、18時間ノンストップの初野外オールナイト公演だ。そのコンセプトは”原点回帰”であり、シンプルに音楽と向き合い、皆で創り上げるダンスフロアがそこにあることを謳っていた。

出演ラインナップは、今年4月に開催されたRAINBOW DISCO CLUB 2022と同じく、CYKや食品まつりら国内勢に限らず、海外アーティストも交えたものになっていたが、注目はブッキングされた海外アーティスト全員がRAINBOW DISCO CLUB 2022に引き続き、無事日本への入国を果たし、今回のために考えられた最高のラインナップがRDCファンにそのまま届けられた点だ。

RDC “Sound Horizon”の会場となったちどり公園は、川崎の中心市街から少し離れた京浜工業地帯を感じるインダストリアルなロケーションにあり、その景色を海沿いから一望できる「The Top」と芝生エリアを楽しむことができる「RDC Stage」の2ステージで構成されていた。

©︎ Masanori Naruse / RDC “Sound Horizon”

©︎ Jiroken / RDC “Sound Horizon”

筆者は今回、10月29日(土)の午後21時前に会場入りし、そのままRDC “Sound Horizon”ヘッドライナーを務めるFloating PointsのプレイするRDC Stageに向かった。そこで目にしたFloating Pointsは、テッキーなハウスやソウルフルなハウスなどに加え、昨年のUKヒット曲pinkpantheress「just for me」のリミックスといった飛び道具的な曲も織り交ぜたプレイでヘッドライナーとしての貫禄を見せつけていた。

©︎ Masanori Naruse / RDC “Sound Horizon”

またレーザーやスモークにまみれながら繰り出されるDJプレイは、かつて自分が憧れたレイヴをテーマにした映画の世界観とも通じるものがあり、久しぶりに自分がクラブミュージックを通して見たかった光景を見せてもらったようにも感じた。おそらく会場に集まったダンスミュージックファンおよび、RDCファンの中にも筆者同様の感覚を覚えた人は少なくないはずだ。

©︎ Masanori Naruse / RDC “Sound Horizon”

Floating Pointsが約2時間のプレイを終えた後、続いて登場したHAAiは、今年デビューアルバム『Baby, We’re Ascending』をリリースしたほか、Fred again..とRomy (The xx) とのコラボ曲「Lights Out」がクラブヒットするなど、筆者にとって今、最もそのDJプレイを見たかったDJ/プロデューサーの1人だった。その期待感を軽く超えていっただけでなく、夜が深まる時間にぴったりなドープなプレイで日本最高峰のテクノDJ、Wata IgarashiとHarukaによるB2Bへとバトンを渡した。

©︎ Masanori Naruse / RDC “Sound Horizon”

©︎ Masanori Naruse / RDC “Sound Horizon”

またHAAiからのバトンを受け取ったWata IgarashiとHarukaがドライブ感のあるテクノを繰り出し続け、RDC Stageを盛り上げた後、満を持して登場したのは、ブリストルの名手Hodge。ベースミュージックとテクノをハイブリッドしたある種の現代のブリストルらしい巧みな選曲を武器にフロアコントールしていった。そして、印象的だったのは朝も近づいた午前4時前からさらにもう一段階ギアを上げるプレイを披露したこと。筆者の中で、そのDJプレイは間違いなくRDC “Sound Horizon”のハイライトのひとつと言える瞬間だった。

©︎ Masanori Naruse / RDC “Sound Horizon”

そして、次に圧巻のDJプレイを見せつけてくれたのはRDC Stageのトリを務めたカナダ出身で現在はロンドンを拠点に活動するPeachだった。DJの凄みや巧さはDJブースの立ち振る舞いからも伝わってくるものだが、この日、1番その立ち振る舞いからハッピーなバイブスを放出していたのは間違いなく彼女だった(少なくとも筆者の中では)。

©︎ Masanori Naruse / RDC “Sound Horizon”

そんなPeachのテクノとハウスなどをハイヴリッドに掛け合わせていくジャンルレスで自由なDJプレイによって、幸福なダンスフロアがちどり公園に築かれていく中、淡い太陽の光が指し、朝が訪れた。その時間帯は午前6時くらいだろうか、11月間近の晩秋ということもあり、それなりの肌寒さもあったものの、筆者の目にはRDCステージで踊る人々の熱はそんなことを気にすることなく、フィナーレに向かって高まり続けているように見えた。

©︎ Masanori Naruse / RDC “Sound Horizon”

筆者は今年、初めて4月にRDCに参加した程度のRDC初心者だが、そこでの体験は噂に聞いていたとおり、とにかく楽しめるものであった。そして、それを知ったからこそ、RDC “Sound Horizon”参加を決めたわけだが、今回も同様に至福のダンスミュージック体験を楽しむことができた。

RAINBOW DISCO CLUBは、11月5日(土)にFloating PointsがOpen to Lastセットを披露するRDC “Sound Horizon”のアフターパーティーを都内で開催した後、Rainbow Disco Club 2023の開催日程を発表している。

今回のイベントを通じて、より深くRainbow Disco Clubの魅力の虜になった筆者は、同イベントにも間違いなく参加することになるだろう。その意味で、RDC “Sound Horizon”は筆者に限らず、今回参加したRDCファンにとって、来年の本祭に向けた気持ちを高める良きブースター役を果たしたはずだ。

とにかく今はRainbow Disco Club 2023が開催される2023年4月29日(土)、30日(日)、5月1日(月)の3日間が楽しみで仕方ない。指折り数えて、その日が来ることを待っている筆者がいる。

Text by Jun Fukunaga

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