今年5月にツアーに復帰して以来、数々の新曲をライブで演奏してきたザ・ナショナルが、そのうちの1曲である「Weird Goodbyes feat.Bon Iver」を〈4AD〉よりリリース。ボン・イヴェールのフロントマンとして知られ、これまでもスタジオやステージで共演してきた盟友ジャスティン・ヴァーノンとの美しいハーモニーが実現した同曲のリリック・ビデオも同時公開されている。

バンドのリード・シンガー、マット・バーニンガーはメンバーのブライス・デスナーがオーケストレーションを担当したロンドン・コンテンポラリー・オーケストラのストリングスを背負ったこの曲について、「過去を手放して前に進み、その後で考え直して途方に暮れるという曲」と語っている。

またシングルの制作過程について、アーロン・デスナーは、「この曲は、僕らが最初に作った新曲のひとつなんだ。いつものようにドラムマシンの使い方を間違えていたら、偶然見つけたこのビートが頭にこびりついてしまって、それを軸に曲を作っていったんだ。無邪気さと喪失感を嘆き、どうしても抜け落ちてしまう思い出や感情を持ち続け、奇妙な別れの中で誰もが苦しむ悲しみを歌っているマットのメロディと言葉は、最初からとてもエレガントで感動的だった。」

1999年にニューヨークで結成されたザ・ナショナルは、マット・バーニンガー(ボーカル)と、2組の兄弟アーロン(ギター、ベース、ピアノ)とブライス・デスナー(ギター、ピアノ)、そしてスコット(ベース、ギター)とブライアン・デヴェンドルフ(ドラムス)で構成されている5人組バンド。彼らは全米ビルボード・チャートで5枚のトップ10アルバムを獲得し、2017年の『Sleep Well Beast』はグラミー賞のベスト・オルタナティブ・アルバムを受賞。

アルバムのリリースとソールドアウトのワールド・ツアーを重ねながら、ソロ・リリース(バーニンガーの2020年の作品『Serpentine Prison』やブライアン・デヴェンドルフの『Royal Green』など)やサイド・プロジェクト(デヴェンドルフ兄弟のアヴァンロックのスーパーグループLNZNDRF)などの課外活動も活発に行い、メンバーの多くは映画音楽の制作(ブライスがグラミー賞にノミネートされた『レヴェナント』、2021年のマイク・ミルズ作品『C’mon, C’mon』、ピーター・ディンクラージ主演の舞台・映画版『シラノ』は、ブライスとアーロン、バーニンガーがスコアを担当)も行っている。ブライスは最近フェルナンド・メレイユ監督のオスカー候補となった『Two Popes』とアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『Bardo』に曲を書き下ろし、9月にリリース予定。バンドは、チャリティー活動や音楽フェスの開催、さらには共同オンライン音楽ポータルの作成を行うなど、その活動は実に多岐に渡っている。またプロデューサーとしてアーロン・デスナーは、シャロン・ヴァン・エッテン、ベン・ハワード、グレイシー・エイブラムス、キング・プリンセスなどのアーティストを手掛けており、テイラー・スウィフトのアルバム『folklore』と『evermore』を共同プロデュース。いずれもグラミー賞の年間アルバム賞にノミネートされている。そしてアーロン・デスナーとボン・イヴェールのジャスティン・ヴァーノンによる変幻自在のプロジェクト、ビッグ・レッド・マシーンは、2021年にセカンド・アルバムをリリースした。

Share.

Comments are closed.