WOMB Travel「WORLDMARKETZ」がピックアップしたオランダの若きプロデューサーLuuk van Dijkインタビュー

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5/18に東京を代表するクラブの1つ、WOMBにて、昨年からスタートしたNEW PARTY “WORLDMARKETZ”が開催された。

同イベントは、日本のダンスミュージックにおけるカンファレンスTDME(Tokyo Dance Music Event)でも発表されたWOMBが新しく立ち上げた「ダンスミュージック × トラベル」をコンセプトにした参加型プログラム “WOMB Travel” のサポートのもと、開催されるもので「世界各国のクラブやフェスティバルのレジデントDJやアーティスト&エージェントたちとダンスミュージックを介して有機的に繋がる」 というテーマを掲げている。

その第2回目の開催となった今回は、オランダの新鋭プロデューサー/DJでアムステルダムを拠点とするLuuk van Dijkをオランダ大使館公式バックアップのもと、招聘。彼はまだ若干22歳ながらすでにAwakenings、Elrow、DGTL、Cocoonなどダンスミュージックファンにとっては音に聞こえた数々の有名クラブやフェスティバルの舞台を経験。これまでにAdam Beyer、Joseph Capriati、Hot Since 82、Henrik Schwarzといった著名アーティストとステージをシェアするなど今最も勢いのあるアップカミングアーティストとして、目下、ヨーロッパを中心にその知名度を拡大している。



2011年から自身のトラック制作を開始したという彼のサウンドは、いわゆるハウス、テックハウスを軸にしたダンサブルなもの。これまでの作品のうち、2014年にSoundCloudで公開した「Je Moeder」は、UKGにも通じる太いベースラインに加わったウォブルなシンセべース込みのフレーズが印象的なトラックだが、なんと同曲を制作したのは彼がまだ10代だった頃。一聴すればその当時から非常に優秀なトラックメイカーとしての才能を秘めていたことがわかるだろう。

それから数年を経て、今年リリースした『The Snage EP』では、先述の曲ですでに確立させていたベーシーなサウンドを踏襲したリードトラック「Place To Be」を始め、フロアライクな曲を計4曲収録。ルーピーなシンセフレーズが身体を揺らせと命じてくるようなテックチューン「Real Time」、最小限のトラック数で構成されたソリッドで無駄のないタイトル曲「The Snake」、ドープなベースラインとボイスサンプルの組み合わせで先述の曲同様にソリッドなフロアキラーに仕上げた「Voice Deep」など、いずれの曲もこれまでにまだ若いながらも様々な大舞台を経験してきた彼だからこその現場経験が落とし込まれたかのように感じる内容だ。





今回はそんな世界のダンスミュージックシーンとコネクトすることを目指すWOMB “WORLDMARKETZ”が目をつけたLuuk van Dijkにインタビュー。果たして現在進行系で躍進を続ける若きオランダの才能が語る彼にとってのダンスミュージックや、初来日となる今回のツアーで感じたこと、若手アーティストを取り巻く環境などアムステルダムと日本との違いとは一体どのようなものなのだろうか?

▽Luuk van Dijk インタビュー

ーー今回が初来日公演でしたが日本でのギグはどうでしたか?
This is your first time in Japan, how were your gigs in Japan?

Luuk van Dijk(以下L): 日本でのギグはとても印象深かった。WOMBのパーティーは音楽好きなお客さんが集まっていて、新しい曲などを試すことができてお客さんのリアクションもとても良かったよ。翌日は名古屋のJB’Sというクラブでプレイしたんだけど、とても最高なアンダーグラウンドな空間だった。
The gigs were absolutely stunning, WOMB was straight party with people who totally went for it, I could test new material and the crowd totally received it well. The day after I played in Nagoya at a more intimate club which was super awesome underground.

ーー東京ではWOMBでプレイされました。WOMBは世界的にも知られる日本を代表するクラブの1つです。最近でもDJ Magが選出する日本のベストクラブでトップに輝きました。世界中の名だたるクラブでプレイされていますが、WOMBというクラブの感想は?
You played at WOMB in Tokyo. WOMB is a world renowned club representing Japan, recently being selected as a top Japanese club by DJ Mag. You have been playing at famous clubs around the world, how did you feel about WOMB?

L:最初にブッキングリクエストが来た時は正直ビックリしたよ。WOMBのことは歴史あるクラブとしてもちろん知っていたし、本物のWOMBからリクエストが来たことが現実なんて信じられなかった(笑)。クラブに入った時、LED スクリーン、レーザー、大きいDJ ブース、素晴らしいサウンドシステムに囲まれた箱はまさに自分が想像していた通りだった。
When I got the booking request I was a little bit flabbergasted, I couldn’t believe it was the real WOMB in Tokyo, haha. Of course I already knew the club because of its history. When I entered the club it was just what I hoped for, this huge box filled with led screens, lasers, a big ass dj booth, wonderful sound system and plenty of space to dance.

ーーハウスやテックハウスのDJ/プロデューサーとして活躍されていますが、そういった音楽を聴くようになったきっかけは?
You have been a house/tech house DJ and producer, what made you start listening to these types of music?

L:幼少時代、父が音楽教師で母がプロのオペラ歌手だったこともあり、音楽はいつも聴いていたんだ。毎週土曜日の夜、ラジオのダンスTop 30をいつも聴いていて、DJがプレイする音楽が好きだった。ある日、父が音楽制作プログラムのCubaseを持って帰ってきて、その時から自分がやりたいことはこれだと確信したんだ。
As a kid I always listened to music because of my musical background with my father, who is a music teacher and my mother, who is a professional opera singer. Every Saturday night I used to listen to the radio to the Dance Top 30. I always liked music played by dj’s but when my father came home with a program called “Cubase” with which you can make your own music, I knew this was what I wanted to do.

ーーこれまでに最も影響を受けたクラブミュージックのプロデューサー/DJは? また最近インスパイアされた同世代のプロデューサー/DJはいますか?
Who is the club music producer/DJ that has inspired you the most? Also, is there any producer/DJ from the same generation who has inspired you recently?

L:エレクトリック、ハウス、トランス、ヒップホップなどを中心に聴くようになり、特に影響を受けたアーティストはいなかったけど、フェスティバルで2000AndOneを聴いた時に、彼のサウンドに聴き惚れて、それがきっかけとなりすぐにアンダーグラウンドの世界へ入ったんだ。今影響を受けているDJはJamie Jonesと Kerri Chandlerだね。同世代のアーティストには才能を持った人たちがたくさんいるけど、影響を受けているアーティストを一人挙げるなら親友のVNTM Live。彼のアーティストとしての意欲は僕たちの限界を押し上げているんだ。
Well I started listening to DJ’s who played more electric, House, trance, hip-hop etc, there wasn’t a particular DJ who inspired me but when I heard 2000AndOne playing at a festival, I immediately fell in love with his sound and I joined the underground movement. But the DJ’s who inspire me now, got to be Jamie Jones & Kerri Chandler. The scene from my generation got loads of artists with talent but if I have to name one guy who inspires me, it’s my best friend VNTM Live. His drive to make it as an artist is really pushing boundaries for both of us.



ーーまだ22歳と年齢的には若手ですが、すでにミュージシャンとして確固たる評価を得ています。日本では現状、あなたのように若いミュージシャンがグローバルに活躍するチャンスはまだまだ少ないと思います。今後、日本の若手が世界を舞台に活躍するためには色々な取り組みが必要だと感じていますが、あえて、これだけは絶対に心がけておいたほうが良いということを1つか2つ、あなたと同じように今後、世界を舞台に活躍したいと思う日本の若手ミュージシャンにアドバイスしていただけますか?
You are still only 22 years old but have already established yourself as a highly valued musician. In Japan, young musicians like yourself rarely have chances to be actively involved within the international music scene. There is much work to do for young Japanese musicians to go global, do you have any advice for those aspiring Japanese young musicians who want to be successful in the global music scene?

L:多くの人が忘れがちだけど、1番大切なのはローカルのDJをサポートすること。まだ有名じゃないDJにもクラブでプレイし彼らの実力を発揮する機会を与えるべきだと思う。
The most important thing that a lot of people forget is that it is important to support your locals. Give the dj’s who aren’t that populair a spot in clubs to proof themselves.

ーーダンスミュージックやエレクトロニックミュージックの聖地の1つであるアムステルダムを拠点に活動されていますが、あえて今回あなたがプレイした東京や名古屋のシーンにはなくて、アムステルダムにあるものを挙げるとすれば一体それはどのようなものですか?
You are based in Amsterdam, one of the famous cities with a big dance/electronic music community. Is there anything that Amsterdam has but the scenes in Tokyo and Nagoya don’t have?

L:1つ思い浮かぶことは、アムステルダムは大きいヒップホップシーンがあったり、テクノシーンも違うものが色々あるし、EDMや他のジャンルのシーンもいっぱいあって音楽の多様性がたくさんあることかな。常にオープンマインドでいて色んな音楽にチャンスや居場所を与えてあげることはすごく大切だと思っていて、新しいクラブやパーティーの発展に時間をかけてあげると必ず上手く行くと思う。正直、東京のナイトライフもそんなに変わらないと思うけどね。
The only thing that comes to mind is that I think in Amsterdam there’s a lot of diversity, Amsterdam has a huge hiphop scene, different techno scenes, EDM scene and so much more. I think it’s super important to be open minded and give different kinds of music a home/chance, just give new clubs and parties the time to develop and it will work out for sure. But to be honest I don’t think your nightlife is so different from ours.;-).

ーー今回は東京と名古屋での公演となりましたが、次回はさらに多くの日本の都市でプレイする姿を見てみたいです。そこで今回あなたのプレイを体験できなかった人のために、名刺がわりとなるこれまでにあなたがリリースした一押しのトラックとDJ mixを1つずつ教えていただけますか?
You have played in Tokyo and Nagoya this time, we would like to see you play in other Japanese cities as well. For those who didn’t get to experience your performance this time, could you please give us a recommended track and DJ mix that you have released?

L:すぐにまた戻って来たいくらい最高な経験が今回できたよ。STRAF_WERK でのクロージングセットは自分のやりたい音楽を最大限に表現できていると思う。
I would love to come over very soon, what an experience it was. I guess my mix at STRAF_WERK closing was very on point on what I like to play.

また、自分の新しい音楽もいっぱいリリースされるので楽しみにしている。来月すごく有名なレーベルからリリースされる新曲「Parallax」は要注目!
and also there’s a lot of new music from me coming out were i’m really happy with. Keep an eye on my track ‘Parallax’, out next month on a big big label! 🙂

*7/18にHot Creationsより、「Parallax」を含む3曲入りEPがリリースされる。

ーー最後に日本のダンスミュージックファンに一言メッセージをお願いいたします。
Lastly, could you please give a message to Japanese dance music fans?

L:素晴らしくあり続けてほしい、なぜならあなた達は最高だから!
Keep being awesome, you guys rock!

ーーありがとうございました。
Thank You.





このようにいくつもの質問に気さくに答えてくれたLuuk van Dijkの今後と再来日に期待がかかるが、今回、”WORLDMARKETZ”に彼を招いたWOMBのインターナショナルブッキングを担当する初芝氏は、「2017年のADE中、Wホテルで行われていたブラジルのWarung Nightで彼のプレイを聴いた途端、直感で思いました。是非、日本でもプレイして欲しいな!と。今回その思いが実現してとても嬉しく思います。在日オランダ王国大使館様にも快くサポート頂き、今後のシーンを担う Luuk 21歳のフレッシュな眼差しと、本当に好きな事をして自立しているそんなポジティブな彼の姿を一人でも多くの日本の皆さんともシェア出来ますように!」と語る。

また共に東京と名古屋JBsでプレイしたDJのDJ Cartoonは、「Luuk van Dijk、彼とは昨年のAmsterdam Dance Eventで初めてDJを聴いたときからまさに恋に落ちてしまったのだけど(笑)、本当に今回の東京名古屋で一緒にDJができて光栄だった。Luukの凄いなと感じるたところはそのプレーは勿論だけど、東京名古屋ともリアルなローカルなDJ達とフラットに笑顔絶やさず音楽談義してくれる姿勢。名古屋では朝皆で「陽陽」のラーメンまで付き合ってくれたよ。こういうコミュニケーションの感度が次の世界に繋がっていくんだなと実感した」と彼のことを評している。

“WORLDMARKETZ”は、今後も「世界各国のクラブやフェスティバルのレジデントDJやアーティスト&エージェントたちとダンスミュージックを介して有機的に繋がる」ことを目的に定期開催される。次回のイベントは、8/24(金)に開催されることが決定しており、そちらには2017年12月に行われたWOMB Travel インドツアーへの参加、また同国で行われたResident Advisorと音楽フェス「Magnetic Fields」によるクラブナイトにも出演したテクノDJ/プロデューサーのDotdatがゲストとして招かれている。

Dotdatは、DJだけでなくプロデューサーとしても目下、注目を集めており、Adam Beyerが主宰するレーベル「Drumcode」が配信するDrumcode Radio でも「Rush」がプレイされるなど、活躍の場を広げている。


*Dotdat「Rush」は1曲目としてプレイされている。

DotdatのDJプレイやトラックが気になった人は是非、次回の“WORLDMARKETZ”に足を運んでみてほしい。

▶︎Event info:
8/24(金) WOMB Travel CONNECTS WORLDMARKEZ at WOMB
OPEN: TBA CLOSE: 4:30 | DOOR: ¥3,500
FLYER&MEMBER: ¥3,000
前売り: ¥2,800

出演:
Dotdat
and more…
info: http://www.womb.co.jp/event/2018/08/24/worldmarkez/

▶︎Dotdatプロフィール
バルセロナで行われた Pleasurekraft, Arjun Vagale, Ramiro Lopez などのアーティストをフューチャーした Odd recordings のショーケースにおいてデビューを果たし、2017年にはDrumcode Radioでも注目された「RUSH」をリリース。同年行われた WOMB Travel 初のインドツアーではサポートアーティストとして脇を固めた。dotdatが創り出すミニマルでヒプノティックなテクノサウンドは聴いたものの心と身体を躍らせ、新たなジャーニーを体験させる。インド国内外にて精力的に活躍し、同国内で行われたResident Advisor club nightsにも出演するなど今後の活躍が期待されているアーティストだ。

https://twitter.com/dotdat_?lang=en
https://www.facebook.com/dotdatofficial/
https://soundcloud.com/dotdatofficial




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