昨年日本で初開催され、大盛況となったレッドブルによるフリースタイル・ラップバトル「Red Bull 韻 DA HOUSE 2022」の決勝大会が11月5日(土)「恵比寿ザ・ガーデンホール」にて行われた。

レッドブル主催の「Red Bull Batalla」はラテンアメリカとスペインを繋ぐ世界規模のフリースタイル・ラップバトルの大会として、2005年からスペイン語圏のラッパーたちに翼をさずける場として注目を集めてきた。その「Red Bull Batalla」が、日本語ラップに適した大会フォーマットに生まれ変わり、「Red Bull 韻 DA HOUSE」として2021年からスタート。

「Red Bull 韻 DA HOUSE」の大会ルールは1対1のフリースタイルバトルで、各自の持ち時間は60秒・2ラウンド制。ジャッジ(審査員)による投票でトーナメントを勝ち抜く。

昨年に引き続き、日本ではめずらしい時間制フリースタイルバトルの王者を決める今大会には東名阪オーディション、そして今年9月に渋谷「WOMB」で行われた予選を経て、全国から熾烈な戦いをくぐり抜けたバトルMC2名と誰もが知るシードMC14名の合計16名が出場。

また、本大会ではゲストライブとして現在のヒップホップシーンを牽引する女王であるAwichと「BAD HOP」のBenjazzy、Tiji Jojo、Vingoによるパフォーマンスも行われた。

MC16名によるラップバトルでは、CHEHON、Donatello、DOTAMA、GOMESS、ID、KIKUMARU、MOL53、PONEY、RAY、Rude-α、S-kaine、呂布カルマ、梵頭。予選通過のMAKA、REDWINGに加え、体調不良により欠場を余儀なくされたMU-TONに変わり急遽参戦したFuma no KTRがステージに上がり、Red Bull 韻 DA HOUSE 2代目王者を目指し、熱戦を繰り広げた。

審査員はバトルシーンのレジェンドである漢 a.k.a. GAMIをはじめ、昨年のRed Bull 韻 DA HOUSEの覇者である輪入道のほか、KEN THE 390、SEEDA、FORK (ICE BAHN)の5名。審査員長 漢 a.k.a. GAMIの「いよいよきたぜ、この時が! Red Bull 韻 DA HOUSE、新しい形のこのバトルをみなさんで今日は楽しんでNo.1を決めましょう!」という挨拶で決勝の火蓋は切られた。

お互いに持ち前のメロディセンスを発揮したフロウで会場を魅了したRude-αとIDの初戦から、3戦続けての延長戦が行われるなど、序盤から手に汗を握る波乱の展開となった今大会。

決勝に至るまでの戦いでは、呂布カルマが巧みなリリックでバトル巧者ぶりを見せつけたほか、MOL53の相手を煽る人を食ったようなフロウ、DOTAMAのユーモアを交えながらも毒が効いた相手へのディス、MAKAによる相手を煽るためのあえてのラガなラップ、REDWINGの過酷な生い立ちを交えてのリリックや、梵頭の最近挑戦した格闘技大会をトピックに自身が”1分間の戦い”の申し子であることを示すパンチラインが繰り出されるなど、1戦ごとにいくつもの見どころが!

また惜しくも敗れたGOMESSによる「ヒップホップは文化遺産で日本に必要だ。だからレッドブルがフックアップしたんだ!」というコメントも、今大会の盛り上がりに一役買う名言となった。

このように盛り上がりを見せた今大会の決勝では、リザーバーながらも無類の強さを発揮してきたFuma no KTRとドープなフロウを武器に勝ち上がってきたS-kaineが対決。「今大会ではお互いに別のベクトルで1番キレている」と審査員のKEN THE 390も高く評価する、2000年代生まれの若手ラッパー同士の戦いは、ラッパーとしてのプライドを賭けた気迫のこもったリリックとスキルフルなフロウの応酬で会場を大いに湧かせる展開に。

最後は今大会1番の盛り上がりを見せたバトルの行方を固唾を呑んで会場が見守るなか、審査員満場一致でS-kaineの勝利が決定。S-kaineが見事Red Bull 韻 DA HOUSE 2代目王者の座に輝いた。

決勝後のインタビューでS-kaineは、「前回のRed Bull 韻 DA HOUSEでは、決勝で負けてしまったこともあって、優勝したい気持ちはありました。ただ、今回は去年より落ち着いてやれたことで上手く優勝という結果を手にすることができたと思います」「今大会後に拠点をLAに移しますが、今回の優勝は自分のキャリアにとって大きな弾みになりました。特に自分の曲を書くレベルが上がったというか、フリースタイルにうまくリリックを馴染ませる方法が身についた気がします」と語り、昨年の雪辱を果たした喜びを噛み締めた。

今大会のアーカイブ映像は YouTube チャンネル「レッドブルマイク」にて絶賛公開中だ。

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