Lil Peep、オルタナラッパーが見せる未来のEmoのカタチ

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Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)やMigos(ミーゴズ)の新作がメインストリームで大成功を収め、従来のポップスター達の作品にとっても人気のラッパー達をフィーチャーすることは完全にトレンド化している印象を受けることなどからも今年の音楽シーンのメインストリームを席巻しているヒップホップ。

また、大物ラッパー達以外にもLil Yachty、Playboi Carti、Kodak Blackら若手ラッパーのアルバム/ミックステープのリリースが海外の音楽、カルチャーメディアでも盛んに取り上げられるような状況は、ヒップホップ新世代の台頭も感じずにはいられない。

◇隆盛するヒップホップシーンにおけるオルタナティブな若手

そんな若手ラッパーの中で、今、注目したいのが、LAのアングラなヒップホップコレクティブ「GOTHBOICLIQUE‏」に所属するLil Peep(リル・ピープ)というラッパー。

このラッパーはどちらかと言えば、今のメインストリームよりはオルタナティブ側寄りで、海外の流行に敏感なヒップスターな若者達の間では楽曲だけでなく、そのファッション性も話題になることが少なくない。

 

リリックのトピックにしているのは、ドラッグ、自殺願望、元カノなど物憂げなものが多く、自身のキャラクターとして90年代のロックスター、Nirvana(ニルヴァーナ)のKurt Cobain(カート・コバーン)のイメージを上手く活用している感が強い彼は、影響を受けたのはラッパーでは Gucci Maneの名前を挙げているものの、Crystal Castles(クリスタル・キャッスルズ)、My Chemical Romance(マイ・ケミカル・ロマンス)、Panic! at the Disco(パニック・アット・ザ・ディスコ)らバンド勢からの影響も公言していることいることからトラックも非常にユニークでオルタナティヴなものになっている。



◇オルタナ/グランジ+Trapが生み出す未来のEmo

サンプリングネタに90s, 00sのオルタナ・ロックやEmoなどをチョイスし、Trapのビートと掛け合わせたものが目立ち、それ故に最近では”未来のEmo”などとも呼ばれることもあるLil Peepの音楽性。

”未来のEmo”とは何ぞや?と思った人は、昨年リリースされた『Crybaby』、『Hellboy』というミックステープを聴いてもらえれば、なんとなくイメージでできるのではないだろうか?

例えば、「Hellboy」「OMFG」という曲は一聴するとイントロからして完全にオルタナ/グランジ風。ラップというよりはむしろ歌い上げる曲になっており、どことなく荒野や砂漠、または寂れたバーみたいな風景が映るグランジ/オルタナバンドのMVのイメージが頭に浮かぶ。

その他にも『Crybaby』収録曲の「yesterday」という曲では、大ネタ、Oasis(オアシス)の代表曲「Wonderwall」をサンプリングし、夕暮れが似合いそうな程にエモく調理した曲や、ノイジーでメロディックなギターが印象的な「ghost girl」あたりは確かにビートはTrapだが、まさに打ち込みで作ったグランジという印象を受ける。

ロックをネタにしたヒップホップのトラックはこれまでにも多数あったが、彼のオルタナロックの雰囲気、空気感までをもパッケージしたアプローチは、これまでにあまりなかっただけに非常に新鮮と言えるのではないだろうか?

USシーンの大いなる発明となったUSシーンの大いなる発明となったブロステップ以降の次のビッグムーブメントの形の可能性のひとつがこの“Emo Trap”“New Emo”と呼ばれるようなジャンルだと感じさせてくれるLil Peep。

音的にはヒップホップに苦手意識を持つ人でもとっつきやすく、今後の活躍次第ではここ日本でも一気にその人気に火が着くかもしれない。

▶︎あわせて読みたい記事はこちら👉 「今、注目すべきラッパーLil Peep、未来のEmoを感じるデビューアルバム『Come Over When You’re Sober, Pt. 1』をリリース」


Reference: Pitchfork
Image via Lil Peep Facebook
Text by letter music / Edited by Pointed


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