2023年に発表したシングル「Water(ウォーター)」で、グラミー賞をはじめ、BETアワード、Billboardアワード、MTVアワード、MTV EMAなど数々の音楽賞を受賞し、世界的ブレイクを果たした南アフリカ・ヨハネスブルグ出身の新世代グローバルスター Tyla(タイラ)の来日公演オフィシャル・ライブレポートをお届けする。可愛さ溢れるTylaの来日公演の余韻に浸れるセットリストのプレイリストも公開中だ。
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Tyla WE WANNA PARTY TOUR
2025.11.11
オフィシャル・レポート
「トーキョーのみんな、『WE WANNA PARTY TOUR』へようこそ。これは私の初めてのヘッドライン・ツアー。ここに来るのは2回目だけど、本当に興奮しています!」と喜びを語ったのは、SUMMER SONIC 2024出演から1年半を経て、『WE WANNA PARTY TOUR』の初日を11月11日に東京で迎えたタイラ。初の単独来日にして15,000人を収容する有明アリーナに降り立った彼女が、世界で誰よりも早く同ツアーを体験することになった日本の“タイガーズ”――タイラ風のミニスカートとクロップドトップスのスタイルや、アニマルプリント+猫耳カチューシャのタイガー・ルックの若い女性が目立つ――を大いに湧かせたことは、言うまでもないだろう。そう、少々意外に感じられるかもしれないが、昨年予定していたワールド・ツアーは怪我でキャンセルに追い込まれ、これまでに彼女がこなしたのは、フェスティバルでの公演が大半。ここにきてやっと実現したのが、アジアを中心に計11都市を周る今回のツアーなのである。気になるその内容は、さる7月に登場したEP『WWP』に因んで命名されているだけに、まさにパーティーそのもの。デビュー曲『Getting Late』からファースト・アルバム、『TYLA』、『WWP』、最新シングル『CHANEL』までを網羅するのみならず、タイラがゲスト・シンガーを務めた南アフリカ人アーティストの曲(WizTheMc/ビーズ&ハニーの『Show Me Love』、ダリウォンガの『Bana Ba』など)も織り交ぜて終始ダンサブルに走り切り、アマピアノやダンスホールのリズム、シルキーでコクのある歌声、得意のバカルディ・ダンス、そしてネオンカラーを多用したスタイリッシュなヴィジュアルを駆使し、故郷ヨハネスブルグのクラブの熱気を運んできてくれた感がある。
見せ方もユニークで、4~5曲をほぼ切れ目なくつないで聞かせる、それぞれに趣向を変えた5つのセクションで構成。例えば第一章の舞台はグラフィティに彩られたストリート。ピンク×イエロー×ブラックの衣装に、“TOKYO”の文字を記したピンクのウィッグという姿で、男女6人のダンサーを従えて現れたタイラは、オープニング曲『IS IT』で早速オーディエンスから大合唱を引き出す。続いて、チェアやベッドを小道具に用いた第二章では一転して室内をイメージし、よりメロウな曲をセレクト。そんな風にスムーズな転換でテンポ良くシーンが塗り替えられ、ノンストップで動き歌うタイラを前にあちこちで「可愛い!」という声が飛び交い、バカルディを踊るたびにどっと歓声が上がる。特に印象的だったのは、曲の風刺的な歌詞に準じて、スクリーンに映し出されたパパラッチのカメラのフラッシュを浴びながら披露した『MR. MEDIA』、パイロテクニクスで盛り上げる『Thata Ahh』、或いは、シャネルのものと思しきハウンドトゥースのセットアップに着替えて、巨大なポンポンを手にしたダンサーたちと披露した『CHANEL』だろうか?ラストは、ポンポンでシャネルのロゴを描いてあっと言わせる。
次いでクライマックスで登場したのはもちろん、大歓声に迎えられた大ヒット・シングル『Water』だ。途中でステージからフロアに降りてきた彼女は、最前列のオーディエンスと握手したり、レコードにサインしたり、一緒に踊ったり……。初日とあって緊張していたのかMCは控えめだったが、ようやくリラックスした満面の笑みを見せる。そして「近くで見るとみんなさらにビューティフル!」と宣言してステージに戻ると、ロマンティックに振り切れた『Breathe Me』をケータイのライトが煌めく会場の隅々にまで届け、紙吹雪が舞う中、『PUSH 2 START』でパフォーマンスを締め括った。ここまで約75分、決して長いショウではないが、手のひと振り、腰のひと振りで、小柄な体から途方もないエネルギーを放つタイラがパフォーマーとしての存在感を存分に見せ付ける、濃密な75分だった。
文: 新谷洋子