高揚感と叙情性を兼ね備えたサウンドと圧倒的なライブ・パフォーマンスで世界を魅了する北アイルランド・ベルファスト発のBICEP (バイセップ) が、2026年初となる新曲「Air」「Lemonder」「Viper」の3曲を〈Ninja Tune〉より一挙リリースした。
今回発表された『Air / Lemonder / Viper』には、〈Warp〉や〈Throttle Records〉から作品を発表してきた鬼才、Clark (クラーク) とのコラボレーションに加え、Saskia(サスキア)とSOARR(ソア)がヴォーカルで参加。それぞれ異なる個性を持ちながらも、メロディックでエモーショナルな瞬間から、フロアを直撃する強烈なサウンドまで、一聴してBICEPとわかる唯一無二のDNAが鮮明に刻まれている。同時に、コラボレーターやヴォーカリストの個性を直感的に引き出す彼らのアプローチが、これまで以上に鮮明に表れた3曲となっている。
今回のリリースにあわせ、パレスチナ系アメリカ人の映像作家、Ryan Doubiagoが手がけた3部構成のショートフィルムも公開された。これまでJ. Cole、M83、Bas、adidasなどの作品に携わってきたDoubiagoが今回テーマに据えたのは、UKのレイヴやサウンドシステム・カルチャーに宿る、人々をひとつにする力だ。
映像では、実在するUK拠点の2つのクルーに密着し、会場設営から翌朝の日の出までの24時間を追跡。3本を通じてひとつの物語を描きながら、その夜の一部始終を飾ることなく記録している。
「Lemonder」では、イングランドの田園地帯を舞台に、パーティが組織され、何もない場所から徐々に形作られていくまでをドキュメント。「Viper」では一転して、パーティ本番の自由奔放な高揚と混沌へと突入する。被写体の周囲を時間が止まったかのように捉えるバレットタイム撮影を用い、その場を満たすエネルギーや残像、身体の動きを映し出す一方、ピークを迎えたフロアにいる人々の親密な表情にも迫っていく。そして「Air」では、夜が終わりを迎える瞬間とその余韻を、朝焼けに染まる映像と生々しいスチール写真によって切り取っている。
3つの映像作品を通して浮かび上がるのは、コミュニティや友情、そしてフリー・パーティ・カルチャーへの深いリスペクトによって結びつく若者たちの姿だ。同時に、UKをはじめ各地で警察や行政当局からの圧力が強まるこのカルチャーが置かれた現在の状況も映し出している。
クラブ・カルチャーは、ますます社会の周縁へと追いやられています。近年フリー・パーティ・ムーヴメントが再び活発になり、それに伴って警察による取り締まりも強まる中、僕たちは若いコレクティヴと協力し、彼らがどのようにパーティを作り上げていくのかを記録しました。そして、彼らが大切にしている理念や、現在このシーンを取り巻く障壁について、自分たちの言葉で語ってもらいました。
– Ryan Doubiago
BICEPの音楽は、これまでも常に変化を続けてきた。初期のデモからスタジオ作品、そして時には原曲とはほとんど別物と言えるほど大胆に姿を変えるライブ・ヴァージョンまで、楽曲はさまざまな形へと進化を遂げてきた。そのプロセスは、先日出演したニューヨークのThe Lot Radioでのセットにも鮮明に表れている。ほぼ全編をアンビエントで構成したこのセットでは、「Air」の別ヴァージョンをはじめ、未発表曲を含む数多くの新曲を披露した。
THE LOT RADIO – BICEP
https://www.thelotradio.com/shows/special-guests/2026-09-15-1800
ニューヨーク滞在中には、キャパシティ380人という超限定のDJポップアップも開催され、参加枠を求めて数千人ものファンが応募。The Lot Radioでのセットとは対照的に、よりハードなアプローチで数多くの新曲をプレイした。
今年11月には、BICEP LIVEが3年ぶりに復活し、ロンドンのRoyal Albert Hallで開催される。3万人を超える事前登録が集まった同公演は、発売開始からわずか数分でソールドアウト。これに先駆け、フィラデルフィアで開催されたDave P主催のMaking Time Festivalではクロージング・セットを務め、今年のDraaimolen Festivalにはシークレットで出演するなど、厳選されたDJ公演を行っており、そこでも多数の新曲や未発表曲を披露している。
今回の3曲は、高い評価を獲得した2021年のアルバム『Isles』のキャンペーン終了後、BICEP単独の名義では初となるリリースとなる。『Isles』は全英アルバム・チャート2位を記録し、BICEPはBRIT AwardsのBest British GroupとBreakthrough Actの2部門にノミネート。同作を携えたBICEP LIVEでは、Glastonburyのセカンド・ステージで3万5,000人を前にクロージングを飾り、その模様はBBC iPlayerでも配信され、今なお語り継がれるセットとなった。また、1万人を収容するロンドンのAlexandra Palaceで2公演を開催し、いずれもわずか5分でソールドアウト。さらにZenith Paris、アントワープのLotto Arena、ベルリンのUFO Velodromなどを巡るヨーロッパのアリーナ・ツアーに加え、北米でもPrimavera LAやPortolaをはじめとする大型フェスティバルやヘッドライン公演を行った。
今回のリリースに先駆け、2025年にはヴィジュアル・アーティストのZak Norman、映像作家のCharlie Millerと共同制作したサウンドトラック『TAKKUUK』を発表。北極圏各地の先住民族のヴォーカリストたちにスポットを当てた同作に続き、近年のBICEPにとって大きな進化を示したのが、レコード・レーベルとキュレーション・イベントをひとつにしたプロジェクト『CHROMA』だ。“AcidからAlkalineまで”あらゆる音楽を横断するという理念のもと、BICEPのよりアンダーグラウンドかつクラブにフォーカスしたプロダクションの拠点となる一方、彼らの幅広い音楽性を発信するプラットフォームとしても機能してきた。それに伴うCHROMA AV/DJツアーは世界70公演に及び、Glastonbury、Parklife、Coachella、Wilderness Festivalなどに出演。さらにロンドンのFinsbury Park、Brighton Beachでのテイクオーバー公演をソールドアウトさせたほか、1万5,000人収容のロンドンDrumshedsでは2年連続でBICEPによるテイクオーバー・イベントを開催している。
