ローランド(Roland)は、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期」における産学官連携プロジェクト「ホコラボ」の協力機関として、パーキンソン病の歩行障害の症状緩和に効果が認められる音楽の制作に関し、同社の音源提供および音楽技術支援を行うことを発表した。
ホコラボは内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期」におけるテーマ「バーチャルエコノミー拡大に向けた基盤技術‧ルールの整備」の一環として公開された産学官連携プロジェクト。本プロジェクトは、パーキンソン病と共に生きる社会の実現に向け、体性感覚‧聴覚インタラクションに基づく運動支援プラットフォームの研究開発から社会実装までを一体的に推進する。
また、公開されている同プロジェクトの情報サイト『ホコラボ』では、知識や開発ストーリーを共有するにとどまらず、当事者‧家族‧医療介護‧地域‧企業とつながり、意見を集めながらともに良いものを作り出せるコミュニティであることを目指す。

パーキンソン病は、患者数の増加が急速に進む神経変性疾患であり、2040年には世界で約1,300万人に達すると推定されている。この状況は「PDパンデミック」とも表現されるほど、深刻な社会課題となっている。パーキンソン病に特徴的な歩行障害(すくみ足、小刻み歩行、突進歩行など)は、移動の困難化や転倒‧転落を契機とした寝たきり化に繋がるため、歩行障害の緩和や予防は極めて重要な取り組みだ。また、パーキンソン病の症状には大きな日内変動があるため、日常生活で普段使いできるシステムの必要性が高いと考えられる。
こうした背景から『ホコラボ』は、日常生活下で活用可能な最先端技術を集結し、データ蓄積、データとモデルに基づく介入効果予測、個々に最適なタイミングでの介入によって、パーキンソン病の方の日常生活、そして未来をよりよくする運動支援プラットフォームの構築を目指す。
プラットフォームを⽀える3技術要素は以下の三要素だ。
歩行障害計測:スマートシューズ
足に装着可能な小型センサで日常での歩行データを詳細に記録します。状態把握やすくみ足の予測、介入タイミングの制御等を可能にします。
介⼊効果予測:神経筋⾻格モデル
神経‧筋・骨格を統合したモデルで歩行障害を再現し、データに基づく個別化介入の有効性をコンピュータシミュレーションで予測します。最適感覚介⼊:体性感覚‧聴覚インタラクション
アシストスーツや歩行器、音楽介入システムが、スマートシューズ連動やモデルシミュレーション結果をもとにして、歩行を補助します。



また、SIP支援期間後(2028年3月)には、訪問看護事業者と連携したサービスとして、以下の3つのサービスを社会実装することを目指す。
・不活動予防サービス:スマートシューズによる活動データ計測と生活中の活動量維持サポート
・生活モニタリングサービス:周囲の環境も含めた日常生活のモニタリングと環境改善サポート
・歩行障害緩和サービス:アシストスーツや音・音楽を用いた個別化された歩行サポート
プロジェクトは、これまでの実証実験の中で、音や音楽を聴きながら歩行を行うことで、パーキンソン病の症状に改善がみられることが確認できていると報告。これを受けて、ローランドは歩行障害を緩和する「聴覚介入システム」に使用するサウンドおよび音楽データに関する音源提供および音楽技術支援を行う。また、この取り組みについて、同社は「関係機関と共に実証実験を重ね、病を改善するためのよりよいサウンド、音楽データの提供を継続的に行い、ローランドが培った音や音楽に関するノウハウを、惜しみなく本取り組みに提供してまいります」と述べている。
ホコラボの詳細は下記のリンク先にて。
https://hocolab-pd.orphe.io

text by Jun Fukunaga