イギリス音楽界最高峰の祭典「BRIT Awards 2026」のノミネートリストが公開された。46回目を迎える今年の授賞式は、2月28日にマンチェスターのCo-op Live Arenaで開催される。
今年の注目は、共に最多5部門にノミネートされたOlivia DeanとLola Youngだ。Olivia Deanは2025年のアルバム『The Art Of Loving』での大ブレイクを経てトップアーティストの仲間入りを果たした。一方のLola Youngも、「Messy」の世界的なバイラルヒットや「One Thing」での成功を足がかりに、2025年のアルバム『I’m Only F**king Myself』でその評価を決定的なものとし、共に「Artist of the Year」などの主要部門にノミネートされている。
これに続き、最新アルバム『People Watching』が支持を集めたSam Fenderが4部門に選出。また、サウスロンドンのラッパーDave、エレクトロニック・シーンの重要人物Fred again..、そしてジャンルを横断する独自のサウンドで話題のJim Legxacyが、それぞれ3部門を獲得し、これに続いている。
また、2ndアルバム『THIS MUSIC MAY CONTAIN HOPE.』のリリースを控えるRAYEは「Song of the Year」と「Pop Act」にノミネート。さらにグラミー賞「Best Dance/Electronic Music Album」にもノミネートされているFKA twigsは「Dance Act」に選出された。
新人賞にあたる「Breakthrough Artist」には、今のUKシーンを象徴する名前が並んだ。筆頭は1月30日にDJセットで来日するBarry Can’t Swimだ。また、同部門にはシングル「4 raws」が世界的なバイラルヒットを記録したラッパー、EsDeeKidも選出されている。彼は昨年、デビューアルバム『Rebel』での成功に加え、Timothée Chalametが参加したリミックスでも大きな話題を呼んだ。
今年のリストは、近年の来日ラッシュとも重なり、日本のファンにとっても馴染み深い名前が多い。Fred again..は、昨年の『FUJI ROCK FESTIVAL ’25』でヘッドライナーを務め、熱狂的なステージを見せたばかり。同フェスに出演したLittle Simzも「Hip Hop/Grime/Rap Act」に名を連ねている。また、先述のBarry Can’t Swimも同フェスに出演したことで日本での知名度を広げた。
さらに「Song of the Year」と「Dance Act」にノミネートされているCalvin Harrisは昨年の『ULTRA JAPAN 2025』に出演しており、UKガラージの旗手Sammy Virjiも昨年末に来日ツアーを成功させた直後の「Dance Act」ノミネートとなった。「Group of the Year」にノミネートされているThe Last Dinner Partyも昨年単独来日公演を行なっている。
同じく「Dance Act」や主要部門の「Artist of the Year」にノミネートされたPinkPantheressの動向にも注目したい。彼女は2024年のサマーソニック出演がキャンセルとなった経緯があるが、来月2月には待望の初来日単独公演が決定している。また、2月に来日するアーティストではロックバンドのWet Legが「Group of the Year」、NYのバンドGeeseが「International Group of the Year」にそれぞれノミネートされているほか、3月に来日するラッパーのCentral Ceeも「Hip Hop/Grime/Rap Act」にノミネートされている。
一方、「Group of the Year」には、ブリットポップの伝説的バンドPulpがノミネートされている。彼らがBRIT Awardsの候補になるのは1996年以来、実に30年ぶりとなる。Pulpは2025年初頭の「rockin’on sonic」で約27年ぶりの来日を果たしており、往年のファンのみならず新しい世代からも再評価が進んでいる。
BRIT Awards 2026 CommitteeのChairを務めるStacey Tangは、今回の発表について「ノミネートされたアーティストの幅広さは、音楽界の活況を反映したもの」とし、イギリスのアーティストが引き続き世界中で支持されていることを強調している。
今年のノミネートリストを眺めていると、エレクトロニックミュージック/クラブミュージックが完全にUKポップスの主役に躍り出たことが読み取れる。象徴的なのは、その層の厚さとアプローチの多様性だ。Fred again..やCalvin Harrisがスタジアム級の熱狂を生み出し、ポップ・アイコンとして君臨する一方で、Sammy Virjiが牽引するフロア直結のUKガラージや、PinkPantheressによるドラムンベースのポップ・ミュージックへの昇華も同時に評価されている。ベテランから新鋭まで、チャートを席巻する感性がエレクトロニック・サウンドで塗り替えられている現状こそが、2026年のUK音楽シーンのリアルな姿と言えるだろう。
BRIT Awards 2026のノミネートリストはこちら。
source: https://www.brits.co.uk/nominees/
text by Jun Fukunaga
