Abletonがスタンドアロン音楽制作ツール「Move」の最新バージョンのベータ版となる「Move 1.5 beta」を発表した。現在、Moveユーザーはベータテストに参加可能だ。
2024年に発表されたMoveは32個のポリフォニック・アフタータッチパッドと16ステップシーケンサーを搭載したポータブル音楽制作ツールで、1500を超えるサウンド/インストゥルメントプリセットを内蔵。内蔵スピーカーとマイクを備え、Ableton Liveとの連携も可能だ。
最新バージョンとなるMove 1.5は、MIDI入力と出力の同時使用をサポートする。各トラックで個別にMIDI入力/出力チャンネルを設定できるようになり、外部シンセサイザーやドラムマシンとの連携が格段に柔軟になった。
また、MIDI Inの「Auto」設定が導入された。この機能は現在選択中のトラックに対して、他のトラックで使用されていないMIDIチャンネルを自動的に割り当てる。例えばTrack 1がMIDI入力チャンネル5を使用している場合、「Auto」設定のトラックはチャンネル1~4および6~16のMIDIノートを受信する。
もうひとつの主要なアップデートが、サンプルスライスモードだ。これにより、ユーザーはMoveデバイス上で直接サンプルをスライスできるようになった。
デバイスチェーン上のサンプルアイコンにカーソルを合わせてShift+ホイールクリックで「Slice」を選択すると、サンプルが等間隔にスライスされる。ホイールを回してスライス数を変更したり、3つのエンコーダーでスライス範囲やポイントを調整したりすることが可能だ。
その他に外部デバイスからのMIDIクロック受信に対応。新たにオーディオエフェクト「Auto Filter」も追加された。さらにUSB-C接続を通じたオーディオサンプリング機能も実装され、スマートフォンやコンピューターから直接ドラムパッドやメロディックサンプラーへの録音が可能になった。加えて、MoveのオーディオをUSB-C経由で出力することも可能になっている。16 Pitches & アルペジエーターモードでは、ドラムサンプルをメロディックに演奏したり、コードをリズミカルなパターンに変換したりすることが可能だ。Control Liveモードは、Noteモード中にトランスポートが動作していて空のクリップが選択されている場合、Moveは再生中の最長の1小節クリップの再生位置を表示するようになった。
次に音楽制作に関する改善点としては以下が挙げられる。
- In-Keyモードでの4度配列により、より直感的なコード進行の構築が可能に
- ドラムパッドの個別クオンタイズ機能で、リズム調整の自由度が向上
- ステップによる素早いノート長編集機能で、シーケンス編集がより効率的に
- トラックのソロ機能で、複雑なミックスにおける個別トラック確認が容易に
Move 1.5ではバグ修正も行われ、ステップを延長すると後のステップが短くなる不具合、MIDI受信中にMIDI入力を無効にするとクラッシュする問題、サンプルゲイン変更時に稀に発生するクラッシュなどが解消された。
さらにブラウザー名のスクロール表示やサンプリングの初期設定改善、高速なクラウド同期など、日常的な使用感を向上させるUIとワークフローの改善も多数含まれている。
Move 1.5 betaのリリースノートはこちら。