ローランド(Roland)が1983年に発売し、世界で初めてのMIDI(※)による通信に成功した歴史的なシンセサイザーである『JUPITER-6』と『JX-3P』が、国立科学博物館(東京都台東区)の2024年度「重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)」に登録された。
※ Musical Instrument Digital Interfaceの略。電子楽器の演奏データを機器間でデジタル転送するための共通規格

国立科学博物館の産業技術史資料情報センターでは、日本国内の科学技術史において「科学技術の発達上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つもの」や「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えたもの」に該当する資料を選定し、「重要科学技術史資料」として登録を行っている。

2008年度から毎年登録が実施され、ローランド製品では、2019年度のリズムマシン「TR-808」、2020年度のデスクトップ・ミュージック・システム「ミュージくん」に続いて今回が3度目の登録となる。

今回登録となった『JUPITER-6』と『JX-3P』は、1983年1月に米国で開催された世界最大規模の楽器ショー「NAMMショー」の会場において、米国シーケンシャル・サーキット社の「Prophet-600」と接続して、世界で初めて他社製品間でのMIDI通信実演に成功したシンセサイザーだ。MIDIは、1981年に策定された電子楽器を接続するデジタル・インターフェースで、今でもそのプロトコルは音楽制作・演奏における電子楽器やコンピューターなどの情報通信の共通規格として活用されている。『JUPITER-6』と『JX-3P』は、MIDIによる音楽表現の可能性を広げた機種として重要であると評価された。

また、アナログ音源回路ならではの特徴的なサウンドを持つ「JUPITERシリーズ」や『JX-3P』は、現代の音楽制作においても人気を博している。ローランドでは現在、そのようなニーズに対応し、シンセサイザー「JUPITER-X」やソフトウェア・シンセサイザーとしてクラウド・サービスのRoland Cloudを通じて提供している。

なお、「重要科学技術史資料」の登録証授与式は、2024年9月10日(火)に国立科学博物館・日本館にて開催予定だ。

ローランド製品詳細ページ
「JUPITER-X」:https://www.roland.com/jp/products/jupiter-x/
Roland Cloud:https://www.roland.com/jp/promos/about_roland_cloud/

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