先週、大きな話題となったイギリスの人気ロックバンド、Oasisの再結成。2025年に行われる16年ぶりとなる再結成ツアー「Oasis Live ’25」のチケットが先週末、発売と同時に完売した。しかし、一部のファンが当初1枚135ポンド(約2万6000円)と表示されていた価格の2倍以上となる350ポンド(約6万7000円)以上を支払ったことなどが明らかになった。また、長時間のチケット購入待ちについても不満が述べられるなど、SNSではファンの失望の声が上がっている。
Oasisはチケット販売大手Ticketmasterが採用している「ダイナミックプライシング」と呼ばれる価格設定方式で再結成ツアーのチケットを販売。この方式は、航空券やホテル予約のほか、Amazonなどオンライン小売サイトなどでも用いられている需要に応じて価格が変動する販売方式だ。しかし、この事態を受け、新たに就任したLisa Nandy文化大臣は、この販売方式に対して不満を示しており、イギリス政府が計画中の二次チケット販売に関する見直しに含めることを表明した。
Lisa Nandy文化大臣は「大幅に値上げされた価格が一般のファンがお気に入りのバンドのライブを楽しむチャンスを奪っているのを見るのは残念です」とコメント。”ファンを音楽の中心に戻す”ことを政府の方針として掲げ、ダイナミックプライシングの透明性と使用に関する問題、それを促進する待ち行列システムの技術を含め、チケット再販に関する消費者保護の今後の協議に含めるとしている。
また、同僚のLucy Powell議員も、週末にダイナミックプライシングにより、再結成ツアーのチケット代を最初に提示された値段の2倍以上支払ったという。Lucy Powell議員は、ラジオ番組「BBC Radio 5」で、急騰価格設定は「特に好きではない」としつつ、「それが市場であり、どのように運営されているかだ」と述べている
一方、Oasisは公式声明で二次市場でのチケット転売に警告を発し、規約違反で販売されたチケットはキャンセルされると述べている。しかし、Ticketmasterの価格設定については現時点でコメントしていない。
We have noticed people attempting to sell tickets on the secondary market since the start of the pre-sale. Please note, tickets can ONLY be resold, at face value, via @Ticketmaster and @Twickets. Tickets sold in breach of the terms and conditions will be canceled by the…
— Oasis (@oasis) August 30, 2024
2009年に解散して以来、Oasis再結成を求めるファンの声は常にあった。それだけに今回の再結成は本国イギリスだけでなく、世界中で大きな注目を集めており、日本でも再結成ツアーのチケットを求めるファンは少なくなかった。
近年音楽業界では、チケット販売システムの公平性と透明性に関して、頻繁に議論が行われている。Ticketmasterはこれまでもダイナミックプライシングによるチケット販売で批判を受けており、The CureのリードシンガーであるRobert Smithは2023年の米国ツアーで「不当に高い」価格に「吐き気を催した」とコメント。後にプラットフォームに確認済みのチケット購入者に少額の返金を発行するよう説得している。イギリス政府とライブビジネス業界の今後の対応に注目集まっている。
なお、Oasisの再結成ツアーは2025年7月から8月にかけてイギリスおよびアイルランド国内17か所で開催される予定で、約4億ポンド(約769億円)の興行収入が見込まれている。
また、8月30日にOasisは、デビューアルバムの30周年記念盤をリリースしている。
source:
https://www.bbc.com/news/articles/c20r26p7d0ro
https://mixmag.net/read/culture-secretary-calls-review-dynamic-pricing-oasis-fans-reunion-tickets-news
Text by Jun Fukunaga