昨年末に開催された6時間に及ぶ単独プレイが大好評だったPowderが、7月9日のVENT BARにて再びオープン・トゥ・ラストの公演を行います。
限定人数しか入場できない本公演の前売りチケットが現在、絶賛発売中だ。




曲がり角の向こうが目に映らないからといって、そこに何も無いわけではない。道中にパッと現れた景色のように、Powderは「突然」その場に居合わせた様に見えるが、少し先の曲がり角にいただけのような存在だ。未だに、わざわざ曲がりくねった道中を選んでいるのか、チラっと見えてはいなくなってしまい、なかなか全部を掴める事は少ないのだが、手がかりもなく行方をくらますわけでもなく、意地悪な道で興味を持つものをふるいにかけたりするわけでもなく、存在と印象を残して、一定の距離を保持しながら少し離れた所を走っている。

2015年ストックホルム “Born Free Records”から楽曲”Spray”を含むEPのファーストリリースや、ESP Institure “Highly EP”でのデビュー以降、日本をベースにしつつも、積極的に自己更新されない情報の少なさも手伝い、全ての動きを掴みきれていないリスナーの憶測とは平行線に、かと思えば時に期待に答えながら、落ち着きが無いようで一貫した(彼女の楽曲のように)、ジャンルマップに左右されない存在感を保ち、楽曲リリースを重ねる。

PowderのトラックやDJプレイを説明するために、”ミニマルな、浮遊感のある、ファニーな…”と、トラックの印象を表すキーワードを探してしまうと、目新しい言葉が特に思い浮かばないが、連想が尽きる事もない。突き詰めていくと、レフトフィールドなトラックである以外の何物でもないことに気づかされるが、それと同時に奇妙さが突き抜ける事なく、普遍的なダンストラックとしてのバランスを保った、オーセンティックなレフトフィールドさ、とでも形容できる脱構築的な世界感を持っている。時代を即座に感じさせるような記号を含むわけでは無く、散りばめられた仕掛けの組み合わせが綿密ながらシンプルに整理され、新しさ、という事よりも、既聴感の無さ、を追求している様にも思える。




Powderのブッキングは非常にドメスティックで、予測できない。
ハイプロフィールなフェスティバルから、小さな町の特別なギグまですべてのブッキングを自身でこなすが、どこであっても「ダンスフロア」をコントロールするような場に居合わせる一貫性を保っている。…といっても、器用なフロアマスターという印象とも異なり、フロアの集合知とでも呼べる古き良きグルーブを放棄しない、実はストレートなDJでもある。快楽的なトラックとしての機能をストイックに追求した上で、長い夜の後でのみ訪れるシンプルな感情を喚起する。メッセージや刺激はその空気感の中にのみ漂い、感覚的なものとして各々に必要なだけのパワーを与える。

規模の大小に問わず、Powderの行動を決定づけているのは、自然さだったり、私的な視点のようだが、拡大を続けるパーソナルなアウトプットが違和感無くフィットするためのギグ以上の広がりや受け皿として、自身のレーベル”Thinner Groove”も2019年より始動した。”友人のグルーブを紹介する”このレーベルでは、自身が一番大切にしている小さな、しかし全幅の信頼を置く知られざるコミュニティが少しずつ明かされていく。

オープンからラストまでをナビゲートするロングプレイは、昨年末以来VENTでは2度目。
オールナイトセットでは、選曲に限らないレイヤーのある空間操作にも注目しながらも、クリアなマインドで各々のベストなスペースを見つけ、長い夜をそれぞれのペースで楽しんでほしい。

text by Franc Rare




【公演情報】
– VENT BAR –

DATE: 7/9 (FRI)
OPEN: 23:00
DOOR: ¥3,000
LIMITED ADVANCE TICKET: ¥2,500(優先入場)
https://t.livepocket.jp/e/20210709_vent_bar
https://ra.co/events/1448946

=ROOM1=
Powder – Open to Last –

※ 前売券が完売した場合は当日券の販売は一切ありません。またその場合は、イベント中の退店者がいた場合も入店できませんので、前売り券をお持ちでない方はご来店されないようにお願いいたします。

VENT: http://vent-tokyo.net/schedule/vent-bar-20210709/
Facebookイベントページ: https://www.facebook.com/events/941538099752478/




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